抄録
薬理学研究における薬物の作用標的の解析や医薬品候補物質の研究等にin vitro試験法が広く利用されている.しかし,様々な理由で,in vitroで得られた結果が必ずしもin vivoで再現できないことが多く,in vivo動物実験を欠かすことができない.平成23年3月に予定していた薬理学会年会においても,多数の動物実験結果が発表される予定であった.一方,動物実験については,市民による反対運動もあり,3Rsの原則に則り適正に実施することが法的に求められている.また,世界的に代替法の開発・評価を専門的に行う国立の機関も多く構築されている.薬理学が今後も社会のサポートを得,継続して発展していくためには,関連法規制を遵守し,動物実験を行う機関,施設,機材および人材を整備し,代替法について研究者教育を行うとともに,それらの適切性について第三者により評価を受けることが重要である.これは一研究者により対応できることではなく,研究機関が組織として対応して初めて達成することが可能である.