日本薬理学雑誌
Online ISSN : 1347-8397
Print ISSN : 0015-5691
ISSN-L : 0015-5691
特集 がん治療薬の研究開発戦略
『低分子血管新生阻害薬とベバシズマブ何が違う?』 血管新生阻害薬を用いた併用治療の現状と展望―新規血管新生阻害薬E7820の腫瘍血管正常化作用―
仙波 太郎
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 141 巻 1 号 p. 4-8

詳細
抄録
VEGF(血管内皮増殖因子)抗体ベバシズマブが,がん化学療法薬との併用治療により転移性大腸がんに対して臨床有用性を示し,新たながん治療として承認された.また,VEGF受容体チロシンキナーゼ阻害薬(VEGFR-TKI)も臨床有用性が確認され,VEGFを中心とする血管新生阻害薬の臨床治療における重要性が拡大している.VEGFR-TKIは,単剤で抗腫瘍効果を示す一方で,現時点でがん治療の主軸である併用療法において適応を取得した薬剤はない.低分子血管新生阻害薬のための併用治療法の確立が今後のがん治療のひとつの課題と考える.併用治療確立のためには新たな研究仮説や併用治療に長けたVEGFR-TKI以外の血管新生阻害薬の創出も必要と考えられる.E7820はVEGFシグナル阻害とは異なる作用機序を有する臨床開発中の血管新生阻害薬である.E7820は前臨床の種々の移植がんモデルにおいて,様々な化学療法剤との併用投与で効果を示すことが確認された.その作用機序は,腫瘍血管正常化の誘導によることが,腫瘍血管のイメージング手法DCE-MRIを用いた検討によって明らかになった.近年,バイオマーカーを用いた化学療法の早期効果判断が求められている.血管新生阻害薬の併用療法の確立には,腫瘍血管イメージングを応用した効果判別手法の進展など,今後の臨床での新たな展開に期待したい.
著者関連情報
© 2013 公益社団法人 日本薬理学会
次の記事
feedback
Top