日本薬理学雑誌
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特集 治療標的の発掘をめざしたシナプス形成メカニズムの探求
神経活動によるスパイン形態制御と脳疾患
山形 要人杉浦 弘子安田 新
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2013 年 142 巻 3 号 p. 106-111

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抄録
脳は経験等の入力に応じて,神経回路を変化させることによって環境に適応する.これは,神経活動によってシナプスの伝達効率や形態が変化することを意味しており,実験的にも検証されてきた.特に,神経活動によって興奮性シナプス後部(樹状突起スパイン)がダイナミックに変化することは電気生理学とイメージングを組み合わせて研究が進んでいる.一方,この分子メカニズムも詳細に解析されており,活動依存的に誘導される遺伝子産物が重要な役割を担っていることもわかってきた.さらに,これらの翻訳や修飾に関わる因子の遺伝的変異が自閉症を起こすという知見も集積してきている.本総説では,活動依存的に発現する遺伝子産物について紹介し,スパイン形態制御や脳疾患との関連,そしてそれらを標的とした新しい治療薬について考察したい.
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© 2013 公益社団法人 日本薬理学会
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