抄録
グリコピロニウム臭化物(glycopyrronium bromide;化合物コードNVA237,以下,グリコピロニウム)は長時間作用性抗コリン薬(long-acting muscarinic antagonist:LAMA)であり,慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)患者に対する長期管理薬として2012年9月,日本およびEUにおいて承認された.グリコピロニウムは1日1回吸入投与の気管支拡張薬であり,COPD患者に対する気管支拡張効果が24時間持続する.グリコピロニウムは,COPD治療薬としてすでに広く臨床使用されているLAMAであるチオトロピウムと比較し,初回投与後の気管支拡張効果の発現が有意に速いという特徴を有する.また,in vitro薬理試験の結果から,グリコピロニウムはチオトロピウムと比較して,ムスカリン受容体サブタイプのM2受容体よりもM3受容体に対する選択性が高く,M3受容体に対する結合が平衡状態に達するまでの時間が短いことが明らかとなっている.中等症から重症のCOPD患者を対象とした第III相臨床試験の結果,グリコピロニウム50 μg 1日1回の投与は,プラセボと比較して気管支拡張効果,呼吸困難感,健康関連QOL,運動耐容能を有意に改善し,さらにCOPDの増悪を有意に減少させる効果が示されている.また,非盲検のチオトロピウムとの比較では,グリコピロニウムはトラフ1秒量,呼吸困難感,健康関連QOL,COPD増悪の評価項目に関してチオトロピウムと同等の効果を示し,初回投与後の気管支拡張効果の発現はチオトロピウムより有意に速いことが示されている.グリコピロニウム50 μg 1日1回の投与に伴う有害事象の発現頻度は,プラセボ,チオトロピウムを投与した場合と同程度であり,臨床使用における安全性が示唆された.