日本薬理学雑誌
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新薬紹介総説
経口FXa阻害薬アピキサバン(エリキュース®)の薬理学的特性と臨床効果
今井 希藤井 裕天野 学
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2013 年 142 巻 5 号 p. 247-254

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抄録
アピキサバンは血液凝固第Xa因子(FXa)を強力かつ可逆的に直接阻害し,FXaの阻害を介してトロンビン産生を抑制することで抗血栓作用を発揮する経口抗凝固薬である.18,000例を超える非弁膜症性心房細動(NVAF)患者を対象にした国際共同第III相試験において,アピキサバン1回5 mg 1日2回経口投与(5 mg BID)の有効性と安全性をワルファリンと比較した.その結果,アピキサバン5 mg BID投与群で,脳卒中および全身性塞栓症の発症リスクにおいてワルファリン投与群に比して有意な抑制が認められ,安全性評価項目の大出血の発現頻度に関しては,ワルファリン投与群と比較し有意に少なかった.その他の有害事象に関しても,肝機能および腎機能を含む安全性,忍容性に問題は認められなかった.また,一つ以上の脳卒中リスクを有するNVAFのうち,ワルファリン不適応とされた非日本人患者5,599例を対象にした国際共同第III相試験において,アピキサバン5 mg BIDの有効性と安全性をアスピリン(81~324 mg/日)と比較した結果,アピキサバン5 mg BID投与群で,脳卒中および全身性塞栓症の発症リスクにおいてアスピリン投与群に比して有意な抑制が認められた.安全性評価項目の大出血の発現頻度に関しては,アスピリン投与群と同様であり,頭蓋内出血に関しても両群間に差を認めなかった.アピキサバンは,プロトロンビン時間測定によるモニタリングの必要がなく,また,薬物代謝に影響する飲食物や併用薬剤への注意もワルファリンと比較し極めて少ないことから患者の治療満足度の向上に寄与するものと考えられる.さらに,ワルファリンが使用できない,あるいは十分な抗血栓治療がなされなかったNVAF患者においても,アスピリンに対するアピキサバンの有用性が示されたことから,今後,本薬を用いることにより,抗血栓治療の選択肢が広がるものと考えられる.
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© 2013 公益社団法人 日本薬理学会
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