日本薬理学雑誌
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漢方薬理学:漢方薬適用における利益性
『伝統医療(漢方薬)と近代医学の統合と融合』 漢方薬の利益的効果
佐藤 廣康
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2014 年 143 巻 2 号 p. 56-60

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抄録
近代医学しか勉強してこなかった我々が,伝統医学,漢方薬の理解を容易にするには,構成生薬の含有成分の基礎薬理学的エビデンスから追究していくことが早道である.古来の伝統医療は主観に基づいた理論概念による漢方処方である.科学的解析法のない時代,永い臨床経験に当時の最高水準の技術から確立したものである.しかしながら,現代に生きる我々は有効成分の作用機序を捉まえて,薬理学的エビデンスから伝統医療の中の漢方医学の理解を進めていきたいと考える.臨床上,医療は西洋薬が主体であり,和漢薬・漢方薬は補完・代替医療として捉えるべきである.多成分複合剤である漢方薬は高齢者,女性に高い適応性があり,また西洋薬に対して非適合性体質患者への絶対的必需性も高い.複合多成分薬である漢方薬は多種多様な相互的薬理効果を有し,西洋薬とは異なる利益的効果を発揮する.これからも漢方薬の適用による有益性を最大限に活用していくべきである.
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© 2014 公益社団法人 日本薬理学会
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