日本薬理学雑誌
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漢方薬理学:漢方薬適用における利益性
骨関節疾患に対する漢方薬の利益性効果
岸田 友紀
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2014 年 143 巻 2 号 p. 69-72

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抄録

骨関節とは,身体運動に関わる骨・筋肉・関節・神経などの総称を指す.骨関節疾患に関連した様々な症候のうち,漢方薬が適応となるのは,変性疾患・骨量低下・筋肉の減弱・神経活動の低下などを基盤としており,その多くは疼痛が慢性化している.骨関節疾患には,炎症・熱感を生じるものと,冷えによって増悪するものの両者が存在する.漢方薬の利点として,生薬の組み合わせを工夫することで体感温度を変化させ,これらの症状に対処できることが挙げられる.また,漢方薬は,多種類の生薬を組み合わせた薬剤のため,多彩な薬効を示す.そのため,主訴だけではなく,時には患者が意識していなかった心身の不具合を改善したり,一剤で多岐にわたる症状を改善したりすることが可能である.これも,骨関節疾患に漢方薬を応用する利点となる.本稿では,個々の症例を通して,骨関節疾患に漢方薬を使う意義についてまとめる.

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