日本薬理学雑誌
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受賞講演総説
関節組織における転写因子カスケードの役割と創薬応用
宝田 剛志
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2014 年 144 巻 4 号 p. 178-184

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抄録

多様な細胞の集団である組織においては,細胞同士が協調して機能するシステムを構築するために,細胞間連絡を媒体する情報伝達物質とそのシグナル伝達経路は,非常に重要な機能的役割を果たすと考えられる.それゆえ,細胞に対して特異的・重点的に作用する物質やシグナル経路を新たに同定することは,単に各細胞機能の制御機構の解明に止まらず,疾患の予防または病態に対する理解を深める上で重要な手がかりになると思われる.一方,関節組織の代表的疾患である,慢性関節リウマチや変形性関節症の国内での患者数はそれぞれ100 万人および1000 万人を超えると推定されており,これら疾患の克服は超高齢化社会を迎えた我が国において社会的要求度と緊急性が極めて高い課題である.近年我々は,関節組織の構成と維持を担う軟骨細胞とともに,その起源細胞である間葉系幹細胞において,細胞外シグナルの包括的な統合に伴って,転写因子群による機能制御機構(転写因子カスケード)が活性化されるとの仮説を新たに提唱した.これら一連の研究成果の進展により,各種転写カスケードを標的として,関節疾患に対する新規治療戦略の創薬展開が可能となると推察される.本稿では,著者らが同定した各種転写因子カスケードについて概説するとともに,その生理機能を「個体レベル」で解析する目的で,独自に作出したコンディショナル遺伝子欠損マウスについても併せて紹介したい.

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© 2014 公益社団法人 日本薬理学会
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