日本薬理学雑誌
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創薬シリーズ(7)オープンイノベーション(21)
『ネットワークの構築と積極的活用から産まれるオールジャパン創薬』 オープンイノベーション戦略とネットワーク構築・活用が,日本の基礎研究力を活かす「創薬」新パラダイムとなる
古矢 修一
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2015 年 145 巻 5 号 p. 243-249

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抄録
オープンイノベーションという,自社技術だけでなく他社や大学などがもっている技術・アイデアを取捨し,組み合わせて,新たに革新的な研究成果,製品開発,ビジネスモデルにつなげる手法が広まっている.これは自前主義を摂ってきた製薬産業にも浸透している.世界的な新薬シーズ不足,医療費抑制の流れから,欧米企業には,自社研究を減らし,ベンチャー企業や著名大学と組むところも現れている.国内製薬企業も創薬シーズ探索に採用し始めている.オープンイノベーションの先に,規制当局と企業が連携した臨床試験コンソーシアム形成などネットワーク化が想定される.国内大学には,創薬シーズ発見に高い能力があり,「橋渡し研究加速ネットワーク」などでの大学病院のガバナンスと医薬開発能力向上と相まって,大学の基礎成果から臨床まで一貫した国内ネットワーク形成と成果を製薬企業に受け渡すオールジャパン創薬が生まれる期待がある.
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© 2015 公益社団法人 日本薬理学会
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