日本薬理学雑誌
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特集 少子高齢化に向けた革新的なイノベーションと薬理学
ビフィズス菌を配合した機能性食品への腸溶性シームレスカプセルの利用
河野 麻実子田中(東) 幸雅釜口 良誠田川 大輔
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2016 年 148 巻 6 号 p. 310-314

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抄録

少子高齢化先進国の我が国において,健康に年齢を重ねることは大きな課題となっており,未病段階でのケアがますます重要となっている.加齢に伴い,消化管,循環器,関節,脳機能などに様々な不調がみられるようになるが,なかでも,消化管機能や筋力の低下により,高齢者では便秘を発症する人の割合が増えることがわかっている.また,加齢に伴い,腸内有用菌であるビフィズス菌が減少するなど,腸内環境が変化することも報告されている.シームレスカプセルは,医薬品や食品で,一般的に広く用いられる「硬カプセル(ハードカプセル)」や「軟カプセル(ソフトカプセル)」とは異なり,継ぎ目が無く直径0.5~8 mmのほぼ真球の形状をしている.このシームレスカプセルは,界面張力を利用した「液中滴下法」で調製され,皮膜に耐酸性,耐熱性,腸溶性等の性質を付与することが可能である.本技術を利用し,皮膜に耐酸性の性質を持たせ,腸溶性の機能を付与することで,胃酸に弱いビフィズス菌を,生きたまま腸へ届けることが可能となる.耐酸性かつ腸溶性シームレスカプセル化ビフィズス生菌をin vitro試験でpH 1.2模擬胃液中に2時間浸漬した後のビフィズス菌の生存率は,90%以上(非カプセル化ビフィズス菌の生存率は,0.0001%未満)であることが示されている.実際に,この腸溶性シームレスカプセル化ビフィズス生菌を摂取することによって,高齢者の便秘やQOLが改善することが明らかとなっており,また,血液透析患者においては,ビフィズス生菌の摂取による腸内環境改善に伴い,血液中のリン値が低下することも報告されている.このシームレスカプセルを用いる一種のドラッグデリバリーシステム技術が,日本の高齢化社会における革新的イノベーションとして,QOL改善に貢献できるように,検討を続けている.

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