日本薬理学雑誌
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特集 少子高齢化に向けた革新的なイノベーションと薬理学
産学官連携コンソーシアムによる日本型生薬生産システムの構築
後藤 一寿
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2016 年 148 巻 6 号 p. 315-321

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抄録

農林水産省で進める攻めの農政において,薬用作物の生産振興は重要な課題として位置づけられている.これまでも薬用作物は漢方の原料や入浴剤,ハミガキ粉,シャンプーなどの「薬用」製品の原料として活用されているが,これらの原料となる生薬の自給率は12%と極めて低い状況である.薬用作物の大半が中国からの輸入で,近年の需要増加を受けて価格が高騰し,入手困難な状況に陥っている.一方で,薬用作物の国内生産に目を向けると,センキュウやサフランなど高品質な国産生薬が生産されている.また,需要量の多い甘草の国産化など,挑戦的な取り組みが展開されている.薬だけではなく,食品用途としての活用,化粧品やシャンプーなどでの活用など新しい6次産業化のテーマとして薬用作物の栽培に注目が集まっている.一方で,農業経営における収益作物として薬用作物を位置づける場合には,以下のような課題が挙げられる.すなわち,1)国内薬用作物ニーズの把握,2)育種家・篤農家の技術の継承,3)生産者の育成,4)国内品種の育成,5)栽培技術研究,6)国産生薬サプライチェーンの確立・共創的コンソーシアムの設立,7)6次産業化などの新ビジネスの創造,8)政策的支援,9)技術開発の学際的融合である.特に産学官連携によるコンソーシアムで解決を図らなければならない課題は,生薬国産化へ向けた育種・栽培技術などの基礎研究および生産振興へ向けた政策研究であると考えられる.そこで本稿では,薬用作物市場の状況を概観した上で,農業における課題と解決策,新品種の開発と産業化の展開方策,コンソーシアムの概念紹介,薬用作物生産へ向けた課題と産学官連携コンソーシアムによる生産体制の構築について報告する.生産農家の経営的・技術的なニーズをきちんと把握し研究開発を進めるのはもちろんのこと,生薬市場の状況も見ながら最適な日本型生薬生産システムを構築することが重要である.

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