日本薬理学雑誌
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特集:医薬品開発における薬理試験のこれからの統計解析
検証的薬効薬理試験における検定手法の選択
中西 展大
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2017 年 150 巻 1 号 p. 10-15

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抄録

試験計画段階で統計学的に留意すべき点は多岐にわたり統計学的有意差検定手法の選択もその一つの要素である.統計学的有意差検定には非常に多くの手法が存在しており,試験のデザイン,目的,評価項目の特性などに応じて,適切な方法を選択することが求められる.しかし,試験の都度,計画段階から統計専門家が参画し,適切な検定手法を設定することは通常困難である.そこで本総説では,統計学的有意差検定の選択法について,ある程度一般化可能と考えられる指針を示す.選択の対象とする検定手法は,日薬理誌掲載論文における各種統計学的有意差検定の使用件数を参考に頻出のものを中心に扱い,「パラメトリック検定,ノンパラメトリック検定」「対応のある検定,対応のない検定」「等分散性の下での検定,不等分散を考慮した検定」「2群の検定,多群の検定(多重比較検定)」「全対比較(Tukey)型,対照群比較(Dunnett)型」といった要素のそれぞれについて,選択の基準となる指針について述べ,代表的な誤用例について解説をおこなう.ここで示す考え方のみを以て,常に正しい解析手法の選択ができるという保証はないが,統計手法の選択に苦慮される方にとって薬理試験計画時における参考となることを期待する.

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