日本薬理学雑誌
Online ISSN : 1347-8397
Print ISSN : 0015-5691
ISSN-L : 0015-5691
新薬紹介総説
抗ヘルペスウイルス薬 アメナメビル錠200 mg(アメナリーフ®錠200 mg)の薬理学的特性と臨床効果
前田 裕美仲村 英樹菊川 義宣
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 153 巻 1 号 p. 35-43

詳細
抄録

帯状疱疹は神経節に潜伏感染した水痘・帯状疱疹ウイルス(varicella zoster virus:VZV)の再活性化により生じるウイルス感染症であり,神経支配領域に一致して帯状に出現する疱疹と痛みが特徴である.アメナメビルは非核酸類似構造の抗ヘルペスウイルス薬であり,ウイルスDNA複製に必須とされるウイルス由来のヘリカーゼ・プライマーゼ複合体の酵素活性を阻害することで,抗ウイルス作用を示す.また,アメナメビルは代表的な薬物代謝酵素チトクロームP450(cytochrome P 450:CYP)の分子種であるCYP3Aで主に代謝され,糞中に排泄される.In vitro抗ウイルス試験の結果,アメナメビルはVZVに対しアシクロビルより高い抗ウイルス活性を示し,アシクロビル低感受性VZVに対しても抗ウイルス活性は減弱しなかった.国内帯状疱疹患者を対象とした第Ⅲ相臨床試験では,アメナメビル400 mgを1日1回食後経口投与したところ,主要評価項目である投与4日目までに新皮疹形成停止が認められた患者の割合は81.1%であり,バラシクロビル塩酸塩に対する非劣性が検証された(P<0.0001,Farrington-Manning法をMantel-Haenszel型の調整に拡張した非劣性検定).副作用は10.0%(25/249例)に認められ,主なものはフィブリン分解産物増加(2.0%),心電図QT延長(1.6%),β-NアセチルDグリコサミニダーゼ増加(1.2%),α1ミクログロブリン増加(1.2%)等であった.以上から,アメナメビル錠1日1回400 mg投与は帯状疱疹治療における有効性と安全性が確認され,本邦において新たな治療選択肢になり得ると考えられた.

著者関連情報
© 2019 公益社団法人 日本薬理学会
前の記事
feedback
Top