日本薬理学雑誌
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特集:薬理学研究に使える形態学的手法の基礎
免疫組織化学の原理と基本
小澤 一史
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2019 年 154 巻 4 号 p. 156-164

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抄録

免疫組織化学とは,抗体抗原反応という生体に存在する多様で特異的な分子認識機構を応用し,細胞,組織,臓器,個体の中に存在する特定の物質を探索し,可視化して観察する研究技法で,多くの領域で汎用されている.光学顕微鏡,電子顕微鏡,蛍光顕微鏡,共焦点レーザ走査顕微鏡などの顕微鏡を用いて観察する形態学と,免疫沈降法,Western blotting法などを用いて細胞や組織内の物質の存在を検出する生化学が合体し,形,構造とその中に存在する物質の同時観察が出来る研究手法である.このステップを簡単にまとめると,「抗原」と特異的に結合する「抗体」を反応させ,その抗原抗体反応した部位を「可視化」して顕微鏡で観察することが免疫組織化学の基本的なステップである.このステップにおいて,重要なポイントがいくつかあるが,その1番目は「よい一次抗体」を用いて明瞭で容易に,また再現性高く探索対象とする物質(抗原)を検出することである.2番目として,組織や細胞内の物質(抗原)の不動化,すなわち固定の必要性である.固定作業は一方で抗原の分子構造変化をもたらし,結果として抗原抗体反応を抑制することがある.従って固定と免疫染色性という相反性の問題を超える必要がある.3つめは「可視化」である.単に見えるだけではなく,特異的で明確に判断できるように見えなくてはいけない.これらのポイントを意識しながら正しい免疫組織化学反応を判別できるようにし,誤った検出結果,検出判断をしないことが大変に大切なことである.そのためのコントロール実験は常に意識すべき重要なポイントになる.

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