日本薬理学雑誌
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特集:化学療法誘発性末梢神経障害の発症機序と対策:最新の研究動向
シュワン細胞に着目したタキサン系抗がん薬誘発末梢神経障害のバイオマーカーおよび新規予防/治療薬の探索
小柳 円花今井 哲司中川 貴之松原 和夫
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2019 年 154 巻 5 号 p. 241-244

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抄録

抗がん薬誘発末梢神経障害(CIPN)は重症化するとがん治療継続の妨げとなるだけでなく,抗がん薬使用の中止後も持続化・難治化することが報告されている.しかしながら,現在のところ著効を示すCIPNの予防/治療薬はなく,CIPNの詳細な発症機序の解明および回避策の確立は急務である.一方,臨床現場において,CIPNの増悪による抗がん薬の投薬中止/減量を行うタイミングは,患者の主訴に基づいた重症度分類のみに依存しており客観的な指標はない.そのため,抗がん薬の投薬中止/減量を決定するための客観的かつ定量的なバイオマーカーが切望されている.本稿では,末梢神経系において髄鞘を形成するシュワン細胞に着目し,これまで我々が行ってきたCIPN発症機序の解明,CIPNバイオマーカーの探索および新規CIPN予防/治療薬の探索の取り組みについて紹介する.

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© 2019 公益社団法人 日本薬理学会
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