高齢化社会を迎えて,下部尿路症状(LUTS)を主訴に病院,クリニックを受診する症例は増加している.また,LUTSに対する治療薬も増加し,その治療選択肢も広がった.LUTSを構成する病態としては,前立腺肥大症(BPH)や過活動膀胱(OAB)が主であり,前立腺肥大症に対する治療において,ガイドラインでは,α1ブロッカーやPDE5阻害薬が,第一選択薬として推奨されており,前立腺腫大が30 mL以上の場合は5α還元酵素阻害薬の併用が,OAB症状が明らかな場合は抗コリン薬またはβ3作動薬の併用が考慮される.実際,BPH患者の約50~75%で,OABを合併するといわれており,OABをはじめとする蓄尿症状は,困窮度や生活の質に大きく影響することから,実臨床においては,OABを合併したBPH症例に対して,治療で難渋することが多い.抗コリン薬,β3作動薬,両薬剤ともにBPH/OAB症例に対してOAB改善に有効であるエビデンスが多く存在するが,最近の報告では,抗コリン薬であるフェソテロジンのadd-onが,β3作動薬のadd-onよりもOAB症状,蓄尿機能の改善に有効であったとの報告もあり,今後のさらなる検討が待たれるところである.また最近では,LUTSの病態として,排尿筋収縮障害による排出障害が意外と多いことが報告されている.その頻度は,LUTSの9~48%といった報告もあり,QOLや腎機能障害,尿路感染などにも関係することから適切な診断,治療が要求される.しかしながら,その一方で,現時点において,その簡便な診断法,膀胱出口部閉塞との鑑別,ならびに有効な治療法が存在せず,今後のLUTS分野における課題の一つである.本稿では,BPH/OAB,DUを中心に,最近の臨床研究から明らかになった排尿障害治療薬の知見について報告する.