2019 年 154 巻 5 号 p. 270-274
ワクチンは18世紀にジェンナーが牛痘にかかると天然痘にかからないという言い伝えから牛痘による天然痘ワクチンを思い立ったと言われている.近年この技術は様々な疾患へと応用され,アルツハイマー病のアミロイドβやタウを標的としたワクチン治療の基礎研究・臨床試験なども行われている.我々も高血圧などの生活習慣病に対するワクチンの開発研究を進めており,毎日の内服薬から年に数回のワクチンによる治療の実現を目指している.これらの内因性タンパク質を標的としたワクチンでは体液性免疫を活性化して抗体産生を促すことが主目的となるため,抗原,キャリア,アジュバントの適切な選択が求められる.臨床的メリットとしては薬物アドヒアランスの改善が挙げられ,特に高齢者における薬の多剤併用(ポリファーマシー)の増加により,飲み忘れや服薬管理の必要性が高い患者が増加しており,薬剤を減らすことによる社会的なメリットは大きいと考えられる.