近年,科学研究における再現性の確保という大原則についての信頼が,市民社会の中で揺らぎ始めている.特に科学研究のために傷付き,痛みを感じ,犠牲になっていく動物たちの命の存在を前提とする実験動物・動物実験に関わる現場の多くで,「技術の標準化」が課題として挙げられている.著者ら実験動物技術者は,新しい技術を開発するだけでなく,それを標準へと高め,そして次の世代に伝えていくということを自らのミッションとして課している.実験動物技術者の全国組織である日本実験動物技術者協会が取り組む技術講習会と,そこにおける「伝えるための技術」の追求について紹介する.