2023 年 158 巻 3 号 p. 263-268
歯周病は,口腔細菌に対する炎症応答および,それに続発して起こる歯の支持骨破壊を特徴とする.その罹患率は非常に高く,成人の歯の喪失の最大の原因となっている.近年,歯周病における骨破壊には,骨芽細胞や歯根膜線維芽細胞が産生するreceptor activator of NF-κB ligand(RANKL)が必須であることが明らかになった.このRANKLの誘導には免疫系の活性化が重要な役割を果たしている.本稿では,骨免疫分子RANKLに着目し,歯周病による骨破壊の分子メカニズムについて,我々の研究成果や最新の知見を交えながら概説する.