日本薬理学雑誌
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新薬紹介総説
エンシトレルビル フマル酸(ゾコーバ®錠125 ‍mg)の薬理学的特性及び臨床試験成績
柘植 優子, 有和 泰子, 柴田 健太郎
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2024 年 159 巻 4 号 p. 264-281

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抄録

エンシトレルビル フマル酸(製品名:ゾコーバ®錠,以下本剤)は,SARS-CoV-2による新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する治療薬である.北海道大学と塩野義製薬株式会社は,SARS-CoV-2複製に必須なタンパク質であるSARS-CoV-2 3C-like(3CL)プロテアーゼをターゲットとした創薬に早期に取り組み,2020年6月の本格的な創薬活動の開始から13ヵ月後の2021年7月より臨床試験を開始した.本剤は,2022年2月に「SARS-CoV-2による感染症」の効能・効果にて製造販売承認申請を行い,2022年11月に本邦初となる緊急承認医薬品として承認を取得,2024年3月に通常承認された.本剤の緊急承認は,軽症/中等症患者を対象に日本を中心としたアジア(韓国,ベトナム)で実施した国際共同第Ⅱ/Ⅲ相試験(T1221試験)で安全性が確認され,Phase 3 Part(SCORPIO-SR試験)で有効性が推定されたためであるが,その後Phase 3 Partの有効性が確認され通常承認となった.国際共同第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験(T1221試験)Phase 3 Partでは,重症化リスク因子やワクチン接種の有無に関わらず,本剤375/125 ‍mgを1日1回,5日間経口投与した際の臨床症状の改善効果が検証され,発症から72時間未満の患者において,オミクロン株流行期にみられる特徴的な5つの症状(鼻水または鼻づまり,喉の痛み,咳,熱っぽさまたは発熱,倦怠感(疲労感))の消失までの時間が,プラセボ群と比較して統計学的に有意に短縮した(P‍=‍0.0407).更に,4日目におけるSARS-CoV-2のウイルスRNA量のベースラインからの変化量がプラセボ群と比較して統計学的に有意に減少した(P‍<‍0.001).また,国際共同第Ⅱ/Ⅲ相試験では本剤群に重篤な副作用や死亡例の報告はなく,良好な忍容性と安全性が示された.本剤は,患者の重症化リスク因子によらず症状改善効果が確認された薬剤であり,本剤がCOVID-19の症状に苦しむ患者にとって,新たな治療選択肢として貢献できるものと期待したい.

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