日本薬理学雑誌
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特集 細胞膜微小環境から紐解く「しなやかさ」生物学の幕開け
細胞機能における“しなやかさ”の制御因子としてのリン脂質の役割
長尾 耕治郎
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2025 年 160 巻 6 号 p. 378-382

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抄録

動物細胞の生体膜は千種類以上のリン脂質分子から構成されている.リン脂質の構造や分布は脂質膜の物理化学的性質や膜タンパク質の活性に影響を及ぼすため,細胞機能の維持にはリン脂質の構造と分布を適切に制御することが必要である.しかし,その構造の多様性ゆえに各リン脂質分子の役割には未解明な点が多く残されている.筆者らはリン脂質の組成やその制御機構が比較的単純なショウジョウバエ細胞を用いて,リン脂質の細胞機能について研究してきた.本稿では,ショウジョウバエ細胞を用いて筆者らが明らかにしてきたリン脂質の細胞機能制御における役割とそれに基づいて得られた哺乳動物細胞での知見を紹介し,細胞機能における “しなやかさ” の制御因子としてのリン脂質の役割について考察する.

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