日本薬理学雑誌
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特集 中枢神経疾患に対する革新的アプローチ:診断から治療まで
マウス生体内でのATP動態可視化技術の中枢神経疾患研究への応用
越智 亮介山本 正道
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2026 年 161 巻 2 号 p. 66-69

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抄録

アデノシン三リン酸(ATP)は,生体内のエネルギー源としての役割だけでなく,様々な生化学反応のシグナル分子としての役割も持つ重要な分子である.ATPが関わる生理学的・病理学的メカニズムを明らかにする上で,生体内におけるATP動態をリアルタイムに計測できる手法が不可欠であるが,従来の方法にはその動態を捉えるための時間的・空間的分解能が不足していた.そこで我々は,遺伝子コード型バイオセンサーを組み込んだAVID(ATP visualization in vivo directly)マウスを開発し,生体イメージングによって全身の器官や細胞におけるATP動態をリアルタイムに計測できる手法を確立した.本稿では,AVIDマウスを用いたイメージングにて,器官レベルから細胞レベルのマルチスケールにおけるATP濃度や,ミリ秒スケールのATP動態を計測できることを紹介する.また,遺伝子コード型バイオセンサーを用いて神経細胞におけるATPの生理学的機能を明らかにしてきたこれまでの知見を紹介しつつ,中枢神経疾患の病態メカニズムの解明にAVIDマウスが貢献できる可能性について議論する.

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