抄録
新しいクラスI抗不整脈薬KW-3407の抗不整脈作用と房室伝導, 洞房結節自動能, 乳頭筋収縮力及び冠動脈に対する直接作用を検討した画抗不整脈作用の検討のため, イヌの冠動脈二段結紮不整脈, ジギタリス及びアドレナリン誘発不整脈モデルを用いた.KW-3407 (20mg/kg/10min, i.v.) はこれら3種類の不整脈を抑制し, 冠動脈結紮後24時間と48時間の不整脈, ジギタリス及びアドレナリン誘発不整脈に対するKW-3407の不整脈抑制血中濃度, IC50, はそれぞれ18.1, 14.4, 18.3, 21.4μg/mlとほぼ同じ血中濃度であった.イヌ血液灌流房室結節, 洞房結節及び乳頭筋標本で, KW-3407は房室伝導時間を延長, 洞調律数及び乳頭筋収縮力を低下, 冠血流量を増加させたが, その作用は弱く, 一過性であった.従って, KW-3407は3種類の不整脈モデルいずれをも抑制する幅広い有効性を持つと共に心臓抑制作用が弱いことより, 臨床的に有効な抗不整脈薬であると期待される.