抄録
N- (3-aminopmpionyl) -L-histidinato zinc (Z-103) の創傷治癒に対する作用を明確にする目的で, モルモット皮膚切創モデルに対する効果について, 耐創張力, ヒドロキシプロリン (Hyp) 量および新生血管量を指標とし, Z-103, その類縁物質 (ZnSO4およびL-カルノシン) 並びに創傷治癒促進剤であるソルコセリルとそれぞれ比較検討した.その結果, Z-103は切創作製4日目の耐創張力および創傷部Hyp量を用量依存的に増大させた, 特にZ-103, 10mg/kgの効果はソルコセリル, 0.5ml/bodyとほぼ同等であった.さらに切創作製3日目の創傷部新生血管量を増加させる作用も有していた.また本薬剤の類縁物質であるZnSO4およびL-カルノシンも同様に耐創張力およびHyp量を増加させる作用が認められたが, ZnSO4はZ-103 10mg/kgに相当する9.86mg/kgで効果の減弱もしくは消失が見られ, L-カルノシンの作用発現用量はZ-103 30mg/kgに相当する23.3mg/kgでありZ-103より高用量を必要とした.以上より, Z-103は本質的に構成成分であるZnおよびL-カルノシンに基づく創傷治癒促進作用を有するものと考えられるが, その効果はZnおよびL-カルノシンに比べて優れているものと推察された.