日本薬理学雑誌
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麻酔ラットの非可逆性再潅流性不整脈に対するRecombinant human superoxide dismutase(r-h-SOD)の作用
大井 至小沢 尚美中村 敬太
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1993 年 101 巻 2 号 p. 93-99

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抄録

麻酔ラットを用いてrecombinant human superoxide dismutase(r-h-SOD)と再潅流性不整脈の用量反応関係を非可逆性再潅流性不整脈の発生率,すなわち,死亡率を指標に検討した.麻酔ラットの左冠動脈を4分間閉塞し,7分間再潅流した。r-h-SODは130~130,000U/kg/minで,また,化学的に不活性化したr-h-SOD(Apo-SOD)は10U/kg/minで,閉塞1分後から10分間静脈内へ投与した.虚血領域の大きさは全心臓重量に対する重量比(%)で表した.r-h-SODは死亡率を有意に抑制し,特に虚血領域の大きさが40~55%のとき,その抑制作用は検出され易く,430~130,000U/kg/minで有意であった.一方,Apo-SODは再潅流後の死亡率をまったく抑制しなかった.虚血により一過性の血圧低下,心拍数の上昇および不整脈の発生が認められた.しかし,これらの循環指標は,いずれの測定時点においても対照群とr-h-SOD群との間に有意な差はなく,r-h-SODの投与による影響は認められなかった.また,他の一連の実験で,r-h-SODを130~130,000U/kg/minで静脈内へ持続投与し,投与開始3分後に頚動脈から採血し,r-h-SODの濃度を測定した.r-h-SODの血漿中濃度は投与量に依存して上昇し,その値は8.5~6,600U/mlであった.以上のように,r-h-SODは虚血中の循環動態に影響せずに幅広い投与量で非可逆性再潅流性不整脈を抑制し,その時の有効血中濃度は28~6,600U/mlと推定された.

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