日本薬理学雑誌
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ラットにおけるデキストラン硫酸誘発潰瘍性大腸炎モデルに関する基礎的研究
―アルシアンブルー染色法を用いた大腸粘膜びらんの評価系に関する検討―
木村 伊佐美神谷 明美永濱 忍吉田 順一谷川 廣行片岡 美紀子
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1993 年 102 巻 5 号 p. 343-350

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抄録
デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)により誘発されるラットの実験的潰瘍性大腸炎モデルにおける大腸粘膜びらんを肉眼的かつ客観的に評価できる方法について検討し,以下の結果を得た.ホルマリン固定大腸標本は1%アルシアンブルーにより濃淡のある特徴的な青色に染色され,その濃青色領域は組織学的にびらんであることが判明した.またこの大腸粘膜びらんは,臨床において潰瘍性大腸炎の治療に用いられているサラゾスルファピリジンの15,50mg/kg×2(p.o.)およびプレドニゾロンの0.5mg/kg×2(p.o.)によりそれぞれ29.6%,50.2%および53.3%抑制された.したがって,アルシアンブルーにより染色される濃青色部位の面積を測定することにより,びらんの程度(範囲)を客観的にかつ容易に評価することができ,本法は実験的潰瘍性大腸炎モデルの薬物評価における有用な指標の1つになるものと考える.
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