日本薬理学雑誌
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102 巻, 5 号
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  • 高津 聖志
    1993 年 102 巻 5 号 p. 301-312
    発行日: 1993年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    The inflammatory response is mediated by various cytokines. IL-5 is one of the inflammatory cytokines. The study of IL-5 has its origins in the search for one of the B-cell differentiation factors, named T-cell-replacing factor (TRF), that induces antigen-stimulated B cells to differentiate into antibody-forming cells. Eosinophil-differentiation factor, EDF, is a factor produced by thoracic duct lymphocytes of parasite-infected rats. cDNA cloning and mAb against IL-5 enable us to identify this molecule as a cytokine (TRF/EDF) that has pleiotropic activity on various target cells besides B cells and eosinophils. The pleiotropic activity of IL-5 is directly dependent on the initial binding to the IL-5 receptor (IL-5R) on the target cell surface. IL-5 transduces its signals through high affinity IL-5R which is constructed by two distinct polypeptides, α and β. IL-5Rα binds IL-5 with low affinity and associates with the β chain which can convert low affinity IL-5R to high affinity IL-5R. IL-5Rβ that does not bind IL-5 by itself is essential for the IL-5 signaling and is shared among IL-5R, IL-3R, and GM-CSFR. These results imply why IL-5, IL-3, and GM-CSF are eosinophylopoietin. The truncated IL-5Rα and IL-5Rβ complexes can not transduce IL-5 signals, although they bound IL-5 with high affinity, suggesting that IL-5-specific signaling may be transduced through IL-5Rα.
  • 工藤 佳久
    1993 年 102 巻 5 号 p. 313-321
    発行日: 1993年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    The development of fluorescent Ca2+ indicators, which have made measurement of the dynamic change in cytosolic free Ca2+ concentration during biological activity feasible, has allowed correlations to be drawn between biochemical changes within cells and their functions. Recently, many new types of Ca2+ indicators with special merit and also new methods for fluorescence measurement have been published. The present technical review summarizes properties of the newly developed indicators and describes the newly developed methods for measuring intracellular Ca2+ concentration. In particular, examples of image analysis applied to single cells and tissue slice preparations are stated in detail. Furthermore, a newly developed single optical fiber device for making measurements in the deep brain region is also introduced.
  • ―エナメル質表層のGBHA染色性に及ぼす作用について―
    大谷 啓一, 石毛 直美, 俣木 志朗, 小椋 秀亮
    1993 年 102 巻 5 号 p. 323-331
    発行日: 1993年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    ラット切歯成熟期エナメル質表層のカルシウム動態におよぼす微小管阻害薬の作用を,glyoxal bis (2-hydroxyanil)(GBHA)染色法を応用して検索した.ラットにコルヒチン(1.3mg/kg)を皮下注射し経時的に屠殺し,切歯エナメル質表層をGBHAで染色し観察を行った.対照群ラットには同量の生理食塩液を投与した.対照群のエナメル質表層では,GBHAにより赤色に染色された4-5本の縞状のバンドが横走あるいは斜走して出現した.コルヒチン投与後,GBHAにより染色されたバンドの幅は広がり,その配列状態も乱れた.GBHA染色領域のエナメル質表面に対する割合は,対照群で約25%であったが,コルヒチン投与後8ないし24時間でGBHA染色領域の割合は約60%に拡大し最高に達した.投与後2日以降この割合は減少し,対照群と同程度に復したが,バンドの配列は乱れたままであった.ルミコルヒチンを投与したラットでは,このような変化は認められなかった.45Caによるオートラジオグラフィーにより対照群に見られた銀粒子の縞模様状の沈着パターンは,コルヒチン投与により消失し,銀粒子はエナメル質表層を一様にラベルしていた.微小管阻害薬により生じる一過性の低力ルシウム血症の発現と,GBHA染色領域の変化との関連を調べる目的で,サリチル酸ナトリウム,フッ化ナトリウムなど,低カルシウム血症を起す薬物を用いて観察を行ったところ,いずれの薬物もGBHA染色像に変化をあたえなかった.したがって,血漿カルシウム値の変動は,GBHA染色領域の拡大と関連しなかった.以上の実験結果より,コルヒチンなどの微小管阻害薬は,エナメル質表層のカルシウム動態を示すと考えられるGBHA染色領域に影響を与えることが明らかとなった.その作用は,エナメル芽細胞からエナメル質へのカルシウム輸送機構,ならびにエナメル質の石灰化機構にかかわる微小管の機能が阻害された結果発現したものと考えられた.
  • 矢岡 修, 青木 一巳, 山田 恒代, 中島 透, 瀬戸口 通英, 中村 郁朗, 池上 清輝, 富高 裕二, 奥田 教隆, 堀添 宏, 中村 ...
    1993 年 102 巻 5 号 p. 333-342
    発行日: 1993年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    食塩感受性Dahlラット(Dahl S)および脳卒中易発症性高血圧ラット(SHRSP)にキナプリル(10mg/kg)を反復経口投与し,高血圧発症,心肥大,脳卒中に伴う死亡率,腎障害などの血管病変に及ぼす効果をエナラプリル(10mg/kg)と比較検討した.薬物は,Dahl Sでは生後10週より20週齢まで10週間にわたり,SHRSPでは8週より19週齢まで11週にわたり,それぞれ食塩負荷と同時に投与した.(1)Dahl Sにおいて,食塩負荷により血圧は急激に上昇し,10週後では約220mmHgとなった.また,これに伴い心肥大が観察された.キナプリルおよびエナラプリルは高血圧の発症を有意に抑制し,血圧値は160mmHg以下に維持された.また,心重量の増加も両被験薬の投与により抑制された.組織病理学的検査により,Dahl Sの脳,腸間膜動脈および腎臓に見られる器質的な変化は,両被験薬投与群で減弱する傾向が認められた.また,血清クレアチニン値の上昇を,両被験薬は抑制した.(2)SHRSPにおいて,食塩負荷により血圧は4週目(12週齢)で約270mmHgまで上昇し,それ以降死亡する動物がみられ,実験期間中に20匹中19匹(95%)が死亡した.キナプリルおよびエナラプリルは高血圧の発症を有意に抑制したが,その作用はキナプリルがやや強い傾向にあった.実験期間中の死亡数は,キナプリルおよびエナラプリル投与群で,それぞれ2匹(死亡率13%)にすぎず,顕著な延命効果が認められた.以上の成績より,キナプリルは,降圧作用に加え,心肥大,脳卒中および腎障害などの心血管病変の発症の抑制を有することが示唆された.
  • ―アルシアンブルー染色法を用いた大腸粘膜びらんの評価系に関する検討―
    木村 伊佐美, 神谷 明美, 永濱 忍, 吉田 順一, 谷川 廣行, 片岡 美紀子
    1993 年 102 巻 5 号 p. 343-350
    発行日: 1993年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)により誘発されるラットの実験的潰瘍性大腸炎モデルにおける大腸粘膜びらんを肉眼的かつ客観的に評価できる方法について検討し,以下の結果を得た.ホルマリン固定大腸標本は1%アルシアンブルーにより濃淡のある特徴的な青色に染色され,その濃青色領域は組織学的にびらんであることが判明した.またこの大腸粘膜びらんは,臨床において潰瘍性大腸炎の治療に用いられているサラゾスルファピリジンの15,50mg/kg×2(p.o.)およびプレドニゾロンの0.5mg/kg×2(p.o.)によりそれぞれ29.6%,50.2%および53.3%抑制された.したがって,アルシアンブルーにより染色される濃青色部位の面積を測定することにより,びらんの程度(範囲)を客観的にかつ容易に評価することができ,本法は実験的潰瘍性大腸炎モデルの薬物評価における有用な指標の1つになるものと考える.
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