日本薬理学雑誌
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抗高脂血症薬フェノフィブラートの抗動脈硬化作用(I)コレステロール負荷ウサギにおける血清脂質低下作用を介さない抗動脈硬化作用
斉藤 清森 敏男河西 宏高永山 隆土屋 亜紀子大林 繁夫
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1995 年 106 巻 1 号 p. 41-50

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抄録
コレステロール負荷ウサギにおけるフェノフィブラ―トの抗動脈硬化作用を検討した.対照動物には0.5%コレステロール含有食(HCD)を,フェノフィブラート投与動物には0.5%コレステロールおよび0.11%フェノフィブラート(約30mg/kg/dayに相当)含有食を2,4および10週間与えた.フェノフィブラートは血清総コレステロール,高密度リポタンパク(HDL)コレステロールおよびトリグリセライド濃度に影響しなかった.対照群の胸部大動脈の粥状硬化面積%(PPA)は負荷期間とともに高まり,フェノフィブラートは負荷2週および4週においては著明にPPA値を低下させたが,この作用は負荷10週ではみられなかった.また,いずれの時期においてもフェノフィブラートは脂質沈着部位の厚みおよび病理組織像に影響しなかった.フェノフィブラートはHCD負荷による非凝集血小板%の低下を抑制し,フェノフィブラートの抗動脈硬化作用の一部は抗血小板作用に起因する可能性が考えられた.フェノフィブラートの活性代謝物,フェノフィブリン酸はin vitroでの低密度リポタンパクの過酸化を抑制しなかった.以上のように,コレステロール負荷ウサギにおいてフェノフィブラートは血清脂質低下作用に起因しない抗動脈硬化作用を有することが認められた.またこの作用は動脈硬化進展の初期段階の抑制により発現したと考えられた.
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