日本薬理学雑誌
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新規CCK-A受容体拮抗薬KSG-504の胆嚢,胃および小腸機能に対する作用
山崎 芳伸赤羽 増夫小林 護品川 和彦杉浦 勝味澤 幸義
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1996 年 107 巻 1 号 p. 33-44

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抄録

新規CCK-A受容体拮抗薬,KSG-504のCCK-8およびペンタガストリンで誘発される胆嚢,胆管末梢部,胃,腸管の反応に対する作用をin vitroおよびin vivoで検討した,KSG-504は摘出モルモット胆嚢のCCK-8誘発収縮を濃度依存的に抑制し,そのIC50値は1.9×10-6Mであった.摘出ウサギ胆管末梢部のCCK-8誘発収縮に対しては10-6Mより抑制を示し,10-5Mでほぼ完全な抑制がみられた.更に,麻酔下モルモットにおいてKSG-504の静脈内投与はCCK-8誘発胆嚢収縮を用量依存的に抑制し,そのIC50値は0.23mg/kgであった.また,覚醒下マウスのCCK-8誘発および卵黄誘発胆嚢排出能促進作用を用量依存的に抑制した(それぞれIC50=13.3および9.6mg/kg,i.v.).一方,KSG-504は覚醒下ラットのCCK-8誘発胃排出能低下作用に対して抑制を示した(IC50=3.78mg/kg,i.v.)が,麻酔下ラットのペンタガストリン誘発による胃酸分泌促進作用には30mg/kgの静脈内投与においても影響を及ぼさなかった.また,麻酔下ウサギのCCK-8誘発による十二指腸および空腸の収縮に対してlmg/kgの静脈内投与より抑制を示した.以上の結果から,KSG-504は胆嚢,胃および腸管において,外因性あるいは内因性CCKによる反応に対しCCK-A受容体を介した拮抗作用を示すが,ガストリン受容体を介する反応に対しては影響を及ぽさないことが明らかとなった.

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