日本薬理学雑誌
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骨・軟骨の再生及び形成促進は可能か?
薬理学-21世紀への架け橋
川島 博行
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2000 年 116 巻 3 号 p. 141-148

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抄録

骨や軟骨は,他の臓器に比して再生能力の乏しい組織である.従って,加齢に伴う代謝機能の破綻や組織の変性,欠損に基づくこれら硬組織の機能異常は,高齢者のQOLに多大な影響を与えることになる.より具体的にいえば,骨粗鬆症と変形性関節炎あるいはリウマチ性関節炎などが,高齢者の行動を著しく制限することになる.これらを解決するためには,骨・軟骨の分化・再生に関する詳細な知識が必要になる.近年の分子生物学および発生生物学の進歩により,軟骨細胞や骨芽細胞の分化に関する知識が集積し,分子レベルでこれらを理解することも可能に成りつつある.本稿では,軟骨分化の調節に関する現在の知見ならびにこれを応用した軟骨欠損部の再生治療の可能性について,また,骨の再生・修復あるいは骨形成に関しては,骨折の治癒や骨の欠損部の再生促進のためのBMPの応用や,骨形成を特異的に刺激する方法論の有無など,基礎知識の現状と治療薬の可能性などについて展望してみたい.

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