日本薬理学雑誌
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ヲヤブジラミの殺蟲成分の藥物學的研究
江刺 喜八郎
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1944 年 41 巻 3 号 p. 225-232

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抄録

ヲヤブジラミCaucalis scabra, Makinoの果實はヤブジラミTorilis anthriscus, Gmel.の果實に酷似し, 防間ヤブジラミの果實と稱して販賣せらるるものには之を混ずること稀ならず.ヤブジラミの果實は俗間にて驅蛔藥として使用せらる.辻1) は本生藥より殺蟲作用を有する油状の物質 (Trilol) を分雄して, 之を驅蛔作用の本體ならんと推定せり.然らば之と同科に屬するヲヤブジラミの果實も亦之と同一の作用を有するにあらざるか, 之を檢するも亦興味なしとせず、茲に於て余はヲヤブジラミの果實を挫磨し, 水を加へて攪拌し, 之に蚯蚓を浸潰して觀察するに, 動物は直に不安苦悶の状を呈するも暫時にして鎭靜し運動は漸次衰微し, 途に全身の池綬を來して死する等, 共の歌恰もヤブジラミの果實を以てせる場合と酷似す.故にヲヤブジラミの果實も亦ヤブジラミの果實の如く蛔蟲驅除の作用を有するものなるやも知るべからず.故に余は該果實中より殺蟲作用を有する物質を追究分離したるに, 共の性状ヤブジラミの果實の有效成分と全く異なるのみならず, 共の藥物學的作用に於ても亦之と全く異なるものなることを確定したり.よりて茲に共の成績を敍述せんとす.

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