日本薬理学雑誌
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ウサギ心室ペースメーカーにおよぼす塩化カルシウムおよび塩化バリウムの作用
臼井 彰
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1969 年 65 巻 2 号 p. 73-82

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抄録

CaCl2およびCaCl2の心臓作用のうち,心室ベースメーカーの自動能と内因性カテコールアミン(E-CA)との関係をVagus amine testを用いて検討した.
急激注射したCaは,迷走神経刺激下において, 6.9±1.6mg/kgで全例不整脈を出現させたが, adre-naline感受性およびCaの量との相関はなかった. Caが5mg/kgないし7mg/kgのときには,迷走神経刺激による徐脈度は大きくなったが10mg/kg以上になると徐脈度は減少した. Ca直接による不整脈は, Reserpine (Res) 3mg/kg i. p.前日処置によっても変らなかったが, Guanoxanによつてその2/3は消失した. Caの緩かな静注は,量を増すにつれAdr増感をおこした.ただし30mg/kgでは全例増感ののち,約80%は減感した。
急激注射したBaは,迷走神経刺激下において2.3±0.58mg/kgで全例に不整脈を出現させた.少量におけるResで消失しN-adrのinfuse backで元に戻った.大量になると不整脈はやや増加しRes前処置により, Ba量はRes処置のないものの約倍に上昇し,その2/3は, Guによって消失し,それでも消えないものの1/3はMJ 1999で消失し,消失不能の例も残った.
CaおよびBaの心室性不整脈,あるいはAdr様作用の大部分は, Res, Guに関するstoreからの遊離により,直接作用と思われるものが極めて小部分であった.この直接興奮作用をとり除くと, CaおよびBaの抑制作用が残った.

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