日本薬理学雑誌
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骨格筋の代謝におよぼす各種薬剤の効果
その2 骨格筋の活性時代謝に対するProcaine,PentobarbitalおよびPhenobarbitalの効果
森川 正子
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1971 年 67 巻 4 号 p. 291-296

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抄録

1.K+,Caffeineは収縮の起らない濃度において酸素消費の増加が観察される.
2.3×10-5M Dihitrophenol(DNP)の添加によりK+,Caffeineと同様酸素消費の増加が見られた.この増加は脱Ca++筋においても同様に見られ,またOuabaine 10-4~10-6M作用させても酸素消費量の変化は見られなかった.
3.Procaineの添加によりK+,Caffeineによる酸素消費の増加は静止時の酸素消費量のレベルまで抑制された,しかしDNPによる酸素消費の増加はProcaineの添加で変化が見られなかった.
4.Pentobarbitalの添加によりK+,Caffeine,DNPによる酸素消費の増加が抑制された.またPentobarbital添加は静止時の酸素消費量の抑制がみられた.
5.Phenobarbital添加はPentobarbitalと同様の効果がみられたが,その作用は弱い.
6.Sucroseを加え高張液にすると骨格筋の酸素消費の増加がみられた.この増加はProcaineの添加により静止時の酸素消費量のレベルまで抑制された.
7.Homogenate筋でCaffeine効果がみられなかった.
8.以上の結果よりK+,Caffeineによる酸素消費の増加はDNPによる酸素消費の増加と違いMitochondriaに直接作用しているのではなく膜を介しての作用であり,その効果発現にCa++が重要な役目をはたしていると考えられる.

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