日本薬理学雑誌
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動物群集心理学の薬理学への導入-10
El-マウスの飼育環境または振とう条件
秦 多恵子尾陰 多津子喜多 富太郎
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1973 年 69 巻 1 号 p. 229-238

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抄録
El-マウスの飼育環境ならびに振とう条件と痙攣発症との関係を不発作率 (RNC) および振とう痙攣閾値 (TSC) を指標として調べ次のような結果を得た.
1. 生活空間の大きさはEl-マウス痙攣発症能に影響を与えなかった.
2. El-マウス1匹を独居させると,2匹以上群居させた場合に比して著しくRNCが増加した.またこの独居によるRNCの増加は群居に戻すと元に復した.
3. El-マウスをdd系マウスと同居させるとRNCが増加し,その程度はEl-マウス1匹独居による場合より大であった.この場合もEl-マウス同士の群居に戻すとRNCは再び低下した.
4. 室温を8°C, 22~26°Cまたは30~34°CにしてEl-マウスを飼育すると, 8°CではTSC, RNC共に増加したが, 30~34°Cでは対照の22~26°Cの場合とほとんど差は見られなかった.
5. El-マウス振とうの頻度を72, 88, 104, 120または132cycle/min, 放り上げの高さ10cmまたは30cmにおける痙攣発症のRNC, TSCなどの指標と痙攣が誘発されるまでの時間との関係を求めたところ, TSCはcycle数の増加に従って増加し,またcycie数が同じ場合には絶えずEl-マウスに運動を与えている場合の方がTSCは小であった.
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