日本薬理学雑誌
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中枢性筋弛緩薬Chlorphenesin carbamateの薬理学的研究 ―特に運動系に対する作用―
福田 英臣工藤 佳久小野 秀樹小久保 実
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1974 年 70 巻 3 号 p. 341-358

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抄録
1,2-propanediol-3-(p-chlorophenoxy)-1-carbamate(chlorphenesin carbamate,以下CCと略記)の運動系に対する作用を数種の動物を用いて調べた.CCはマウスの握力を低下させ,角膜および耳介反射を消失させた.picrotoxinおよびpentylenetetrazol誘発痙攣および電撃痙攣に対するCCの抑制作用の持続は,mephenesinに比して長かった.CCはstrychnine誘発痙攣に対して抑制作用を示さなかったが,mephenesinは著明な抑制作用を示した.CCはmephenesinと同様にoxotremorineよる振戦を抑制した,CCはラット,ヒヨコおよびカエルの脊髄機能を抑制した.そしてその作用持続時間はmephenesinより長かった.ラットにおける脊髄反射電位に対し,CCは単シナプスおよび多シナプス反射をともに抑制した.上丘-下丘間切断による除脳固縮ラットおよび貧血性除脳固縮ラットにおいてCCは著明な抑制作用を示した.この作用はmephenesinでも見られた.神経筋接合部に対して,CCは高用量を適用しなければ筋の単収縮にも不応期にも作用しなかった.さらにCCはラットとカエルの筋紡錘発射の頻度を減少させた.CCのもつこの作用はその筋弛緩作用に何らかの影響を与えているものと考えられる.以上の結果より,CCはmephenesinより持続時間が長く,質的にもmephenesinとは幾分異った性質を有している中枢性筋弛緩薬であると結論する.
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