日本薬理学雑誌
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マウス・ラットのSARTストレス症状におよぼすNeurotropinの薬理作用
喜多 富太郎秦 多恵子尾陰 多津子米田 良三星野 一也
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1975 年 71 巻 2 号 p. 211-220

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抄録
われわれは前報で,動物の飼育環境温度リズムを変更することによってマウスおよびラットに特殊なストレス(SARTストレス)状態を作り,さらにこれらの生体機能は異常に変化していることを報告した.次いで今回はSARTストレス動物の異常性に対するノイロトロピンや数種の向精神薬その他の効果を報告する.ノイロトロピンというのは生きたままの牛痘ウィルスを接種したウサギの皮膚または組織から分離した多くのpolysaccarideを含む抽出液である.ノイロトロピンはマウスやラットのSARTストレスによる体重の減少を正常値まで回復した.しかしワクシニアウィルスを処置していないウサギの健全な皮膚からの抽出液を投与してもこの体重減少は回復しなかった.Chlorpromazine(Cp),reserpine(Rp),diazepam(DZ),imprimanineあるいはdiphenhydraminを注射しても体重減少は回復しなかった.SARTストレス動物の呼吸数の微増とバラツキの増大はノイロトロピンの使用により回復し,QRS時間の延長は前記薬物のいずれによっても正常値に近くまで回復した.Magnus氏法で調べた十二指腸のACh感受性の低下はノイロトロピンの投与により回復した.ラットのGSRテストではSARTストレスによって生じた皮膚電気抵抗の減少,反応性の増大および反応持続時間の短縮がノイロトロピンの投与により著しく回復し,次いでDZや-hydroxy-γ-aminobutyric acid(GABOB)によって回復した.以上の結果を総括すると,SARTストレスに対してノイロトロピンは最も効果的で,次いでDZやGABOBが有効であった.しかしmajor tranquilizerであるCpやRpによっては全く効果が見られなかった.
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