日本薬理学雑誌
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71 巻, 2 号
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  • 高橋 正克, 小井田 雅夫, 金戸 洋
    1975 年 71 巻 2 号 p. 123-129
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
  • 渡辺 繁紀, 森本 保人, 植木 昭和
    1975 年 71 巻 2 号 p. 131-146
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    中脳被蓋および視床下部に慢性電極を植込んだラットにみられるself-stimulation behaviorに対する諸種向精神薬の作用ならびに脳内各部の電気刺激の影響を調べ,さらにその刺激効果に対する薬物の作用について検討した.中脳被蓋,視床下部いずれの部位でも,1日数回,15分間ずつの試行を3~5日間続けると,ラットは500回/分以上の安定したself-stimulation Behaviorを示すようになった,Chlorpromazineは中脳被蓋よりも視床下部のself-stimulation behaviorを強く抑制し,diazepamおよびpentobarbitalは逆に視床下部よりも中脳被蓋のそれを強く抑制した.Imipramineはいずれの部位のself-stimulation behaviorに対しても抑制あるいは増強とラットの個体によってその作用は一定しなかった.Methamphetamineは両部位のself-stimulation behaviorを促進させた.扁桃核,中隔野,視床下部の電気刺激により,中脳被蓋のself-stimulation behaviorは著明に抑制され,扁桃核,中隔野,中脳被蓋の電気刺激により,視床下部のself-stimulation behaviorは著明に抑制された.中脳被蓋のself-stimulation behaviorに対して,chlorpromazineは視床下部の刺激効果の閾値を上昇させ,M;,桃核,中隔野の閾値は逆に低下させた.Diazepamおよびpentobarbitalはいずれの部位の閾値も上昇させ,methamPhetamineはいずれの部位の閾値も低下させた,視床下部のself-stimulation behaviorに対してchlorpromazineは中脳被蓋,扁桃核,中隔野いずれの部位の電気刺激効果dom.対してもその閾値を低下させ,methamphetamineの作用も同様であった.Diazepamとpentobarbitalは中脳被蓋の刺激効果に対しては,その閾値を低下させたが,扁桃核と中隔野のそれに対しては逆に閾値を上昇させた.Imipramineは個体により作用が一定しなかった.このbehaviorについてみる限りではchlorpromazineは扁桃核や中隔野の興瘡性を増大させるのに対してdiazepamやpentobarbitalは逆にこれを抑制するもののように考えられ,このことはこれらの薬物の作用の質的な差異を示唆するものである,
  • 柳浦 才三, 西村 友男, 細川 友和, 岩瀬 博明
    1975 年 71 巻 2 号 p. 147-155
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    実験動物に最も自然なヒトに近い咳漱を得るために,ヒトの咳歎と動物に誘発させた人為的な咳漱の波型を観察し,さらにDMPP適用による咳様反射について研究した.呼吸器疾患患老の咳漱波型はそれぞれの疾患により特徴が認められた.イヌにおける刺入電極による気管粘膜の電気的刺激法による咳歎波型と,DMPP i.v.適用による咳様反射の波型とを比較すると前老の咳漱波型はヒトの咳漱波型に近似していた.さらにα-chloralose80~100mg/kg i.p.麻酔下のイヌ,ネコにおいて,DMPPの用量と咳様反射の頻度とは直線関係が成立し,tachphylaxis現象は認められなかった。同頻度の咳様反射を誘発するためには,ネコはイヌよりもDMPPの高用量を必要とした。Konzett-Rössler法の変法では,DMPP5~10μs/kg i.v.は気道抵抗に対し何等の作用も認められなかった.イヌ,ネコ共にDMPP i.v.適用による咳様反射はmorphine hydrochloride,cadeine phosphate,oxymethebanol,picoperidamine,piclobetol,hexacolにより抑制された.しかし,いずれの場合にも気管粘膜の電気的刺激による咳漱を抑制する用量よりも高用量を必要とした。またDMPP適用による咳様反射は,hexamethoniumによっても抑制された.以上のことからDMPP適用による咳様反射は,咳漱波型,気道に対する作用,咳様反射におよぼす薬物の影響から,「咳噺」とは言いがたいが,咳漱の発生機序,鎮咳薬の作用点を追求する方法として使用することができると考える.
  • 柳浦 才三, 田頭 栄治郎
    1975 年 71 巻 2 号 p. 157-168
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    SD系ラット雄,雌各10匹を一群とし,phenobarbital,chlordiazepoxide,diazepamおよびmorphine・HClを用いて正常ラット(5週令)と薬物依存経験ラットにおける依存獲得時期,休薬による体重の減少率および禁断現象の持続期間について比較検討した.薬物はすべて初回量5mg/kg(1日1回,p.o.)を7日間強制適用後1日休薬し,休薬後用量を10mg/kgに倍量して7日間適用後1日休薬した.この適用スケジュールでmorphineは40mg/kg,他3薬物は160mg/kgまで漸次増量した.最終用量適用後一律に16日間連続休薬した(EXP.1).体重が休薬前のレベルに回復したのちEXP.1と同じ薬物を同じ適用スケジュールでmorphineは40mg/kg,他3薬は80mg/kgまで漸増適用後一律に16日間連続休薬し(EXP.II),再三,Exp.IIと同じ適用スケジュールで各薬物の依存試験を行なった(EXP.II,III).その結果,各薬物依存経験ラットは未経験ラットに比較し,1)依存獲得時期が漸次早まり,2)休薬による体重の減少持続期間も長くなる.3)しかし,体重の減少率にはほとんど差がみられない.4)また,1日の総摂飼量減少の持続期間も,未経験ラット時の場合と変らなかった,これらの結果より薬物依存獲得時期の相違は薬物依存にみられる一つの特徴を表わし,また依存形成能の強弱に関与する因子であることを示唆し,従来より用いられている休薬による体重の減少率と禁断症状の持続期間と同時に,ラットにおける薬物依存形成能の評価に加味すべきものと思う.特に小動物を用いたbarbiturates,tranquilizersおよびsedative-hypnotic drugsの依存性試験には直接連続適用法は困難が多いとされ1),もっぱらsingle dose suppression test,あるいはsubstitution testが多く用いられている現在,本実験にみられたごとく,依存獲得時期の比較検討を行なうことはscreening testに大切であり,また有効なものと思われる.
  • 萱嶋 憲保, 吐山 豊秋
    1975 年 71 巻 2 号 p. 169-173
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    イヌにおける反射性嘔吐に対する制吐剤の評価方法を確立するためにこの実験を行なった.12頭のイヌに対し硫酸銅の経口投与による嘔吐閾値量を求め,毎週1回ずつ閾値量の硫酸銅を投与した.途中で閾値の上昇したと思われる1例を途く11例で,通算78回の投与により嘔吐したのは68回で,再現率は82%であった.この実験結果から,次の実験方法によって制吐剤の評価を試験するのが適切であると考えられる.1)10kg前後(7~14kg)のイヌを一定条件で飼育し,健康であることを確認しながら1週間に1回ずつ嘔吐実験を実施する。2)嘔吐閾値は硫酸銅20,40,80mg/headの3段階で測定し,80mg/headで嘔吐しないもの,潜伏期が5分以内または45分以上のイヌは除外する.3)制吐剤等の効果を検討する場合には5例以上の例数が必要と思われる.もし閾値量硫酸銅による嘔吐が50%以上抑制されれば有効と判定し得る.4)潜伏期の大幅な延長は抑制効果の1つとみることが出来るが,嘔吐回数の減少は指標にならない.5)制吐剤の実験で抑制が見られた場合は,その後再び閾値量硫酸銅単独による試験が必要で,もし2回以上続けて嘔吐しない場合は例数から除外すべきである.
  • 許 〓, 岩田 平太郎, 山本 格
    1975 年 71 巻 2 号 p. 175-183
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    当教室において,さきにみとめられたマウス肝臓のallopurinol(4-HPP)酸化酵素がaldehyde oxidase(AO)と同一の酵素であるか否かについて検討を行ない,以下に記す実験結果から,高濃度の4-HPPは肝AOにより酸化されoxipurinolになることが明らかになった.1)N-methylnicotinamide(NMN)を基質として測定したAO活性と4-HPP酸化酵素活性はマウスの成熟期間中並行して増加した.2)両酵素活性は,加熱処理により同じ失活曲線を描いた.3)4-HPPおよびNMN酸化反応は,それぞれ,NMNおよび4-HPPにより競合的に抑制された.4)4-HPP酸化反応を抑制する化合物は,NMN酸化にたいしても同じ割合で抑制を示した.5)Dexamethasoneを投与すると,4-HPPおよびNMN酸化反応は,同じ程度の減少がみとめられた.6)AO精製時,各段階で4-HPPおよびNMN酸化酵素は同じ率で精製された.7)4-HPP酸化酵素およびAOは共に一価陽イオン依存性であること,さらに,一価陽イオンによって,両酵素活性は同じ動態を示すことがみとめられた.8)実験に用いた酵素標品中に含まれているxanthine oxidaseは,4-HPPの酸化に影響していないことを確認した.
  • 西畑 次郎
    1975 年 71 巻 2 号 p. 185-194
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    ウサギ肺動脈条片のトーヌスおよび対薬物(K,noradrenaline(NA),Ba)収縮反応におよぼす栄養液(BS)のNaおよびKの変量の影響を,とくにCaとの関連において検討し,これに関連する二,三の補足的実験も行なった.1)BSのNa除去は,Ca遊離とCainfluxによる持続性収縮を起こした.2)BSのNa除去は,その直後に,K,NA,Baの各収縮を増強し,40分後に減弱させた.3)Ca(-)BS中での外来Caの収縮は,このBSからのNa除去により,直後に増強され,30分後にはつよく抑制された.4)BSのNa増量は高浸透圧効果により,Ca influxの促進にもとずく持続性収縮を起こした.ただし,この収縮の大きさは,Na増量と同じ高浸透圧のsucroseによる持続惟収縮よりも小であった,5)BSのNa増量は,Baの収縮には無影響で,Kの収縮を直後に軽度,40分後につよく抑制し,NA収縮を直後,40分後ともにつよく抑制した.これらの抑制は,高浸透圧効果とは無関係のNaに固有の作用による.6)Ca(-)BS中での外来Caの収縮は,このBSのNa増量により,直後,30分後ともに,つよく抑制された,7)BSのNa除去は,Castoreへの細胞内Caのuptakeを阻害した.BSのNaはこのuptakeを促進する役割をもつことが示唆される.8)BSのK除去は,Ca遊離とCa influxによる持続性収縮を起こした.9)BSのK除去は,40分後に,NA収縮をつよく,Ba収縮を軽度に,滅弱させた。10)Ca(-)BS中での外来Caの収縮は,このBSからのK除去により,直後および30分後に増強されたが,長時間(240分)後にはつよく減弱した.11)Na(-),Ca(-)BS中またはK(-),Ca(-)BS中で消失したNA収縮およびBa収縮の正常BS中での回復過程は,高K適用(後水洗)により著しく促進された.この促進効果は,膜興奮性低下の除去とCa storeのrepletionによることが示唆された.12)トーヌスおよび対薬物収縮反応におよぼす上記NaおよびKの各影響を,Caとの関連において,考察した.
  • 喜多 富太郎, 秦 多恵子, 米田 良三, 尾陰 多津子
    1975 年 71 巻 2 号 p. 195-210
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    環境温度の変動に対して生体機能はどのように対応するかについては未だ充分わかっていない.そこでわれわれは実験動物の環境温度条件をいろいろと変動させ,その影響を精査した.すなわち「マウス(またはラット)を午前10時から午後5時までは1時間毎に24°Cと8°C(または-3°C)を交互に,次いで午後5時から翌日の午前10時までは8°C(または-3°C)で飼育する」という環境温度リズムの変動(ARTと略)の条件下でマウスまたはラットを飼育した.このテストはマウスやラットを強度のストレス状態にした.そしてわれわれはこの強度のストレスを特異的なARTストレス(SARTストレスと略)と呼ぶことにした.SARTストレスマウスならびにラットでは体重増加がほとんど見られず,呼吸数および心拍数がわずかに増加し,QRS時間が延長した.SARTストレスマウスでは,Magnus氏法で調べた摘出十二指腸管のACh感受性は正常値に比べ著しく低下していた.SARTストレスラットの解剖所見では,脾の湿重量は正常値より軽かった.しかし,肺・心・肝・胃・腎および副腎のそれは正常値に近かった.これらの臓器を巨視的に観察すると,肺には赤褐色の斑点が,心室には肥大が,また胃粘膜内面には軽度の塵瀾と充血が認められた.次に皮膚電気反射(GSRと略)では,SARTストレスラットの皮膚電気抵抗値は正常ラットのそれより小さく,外部刺激によって誘発された抵抗値の変化は大きく,またその回復時間は正常ラットのそれより短かかった.以上の結果から,SARTストレスは一種の病態と考えられ,そして人間で温度の急変によって惹起されるストレス状態を代弁するに充分な理由を持っているといえよう。
  • 喜多 富太郎, 秦 多恵子, 尾陰 多津子, 米田 良三, 星野 一也
    1975 年 71 巻 2 号 p. 211-220
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    われわれは前報で,動物の飼育環境温度リズムを変更することによってマウスおよびラットに特殊なストレス(SARTストレス)状態を作り,さらにこれらの生体機能は異常に変化していることを報告した.次いで今回はSARTストレス動物の異常性に対するノイロトロピンや数種の向精神薬その他の効果を報告する.ノイロトロピンというのは生きたままの牛痘ウィルスを接種したウサギの皮膚または組織から分離した多くのpolysaccarideを含む抽出液である.ノイロトロピンはマウスやラットのSARTストレスによる体重の減少を正常値まで回復した.しかしワクシニアウィルスを処置していないウサギの健全な皮膚からの抽出液を投与してもこの体重減少は回復しなかった.Chlorpromazine(Cp),reserpine(Rp),diazepam(DZ),imprimanineあるいはdiphenhydraminを注射しても体重減少は回復しなかった.SARTストレス動物の呼吸数の微増とバラツキの増大はノイロトロピンの使用により回復し,QRS時間の延長は前記薬物のいずれによっても正常値に近くまで回復した.Magnus氏法で調べた十二指腸のACh感受性の低下はノイロトロピンの投与により回復した.ラットのGSRテストではSARTストレスによって生じた皮膚電気抵抗の減少,反応性の増大および反応持続時間の短縮がノイロトロピンの投与により著しく回復し,次いでDZや-hydroxy-γ-aminobutyric acid(GABOB)によって回復した.以上の結果を総括すると,SARTストレスに対してノイロトロピンは最も効果的で,次いでDZやGABOBが有効であった.しかしmajor tranquilizerであるCpやRpによっては全く効果が見られなかった.
  • 岳中 典男, 新谷 成之, 石原 高文, 樋口 マキエ, 開 一矢
    1975 年 71 巻 2 号 p. 221-230
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたアドレナリン性βレセプター遮断薬5-(3-tert-butylamino-2-hydroxy)propoxy-3,4-dihydrocarbostyril hydrochloride(OPC-1085)の心血管系および心筋代謝に対する作用を麻酔開胸犬ならびに摘出犬心臓標本を用いて検討した.麻酔開胸犬では,心拍数,Vmaxおよび平均血圧においてOPC-1085はisoproterenolに対して用量依存性に拮抗し,propranolo1に比較してそれぞれ6,24,27倍の強さを示した.心筋酸化還元電位においてもOPC-1085はisoprotereno1に対してpropranololの10倍以上の拮抗力を示した.OPC-1085の単独作用については,心拍数およびVmaxは,3~30μg/kgで減少傾向を示したが,100~3,000μg/kgでは逆に増大した.max dp/dtについても同様な傾向が認められた.しかし,proprallololは用量の増大とともに心拍数,Vmaxおよびmax dp/dtを減少させるのみであった.心筋酸素消費量および冠血流量はOPC-1085の3,10μg/kg,propranololの30,100μg/kgで減少した.心筋酸化還元電位に対しては著明な作用は認められなかった.摘出心臓標本ではOPC-1085の0.1mgによりisoproterenolによる心拍数,心筋収縮力,冠血流量および心筋酸素消費量の増大および心筋酸化還元電位の低下が完全に抑制された.単独作用についてはOPC-1085の0.1mgにより心拍数,心筋収縮力,冠血流量および心筋酸素消費量が増大した.潅流圧,心筋酸化還元電位には著明な変化が認められなかった.以上のことから,OPC-1085はpropranololよりも強力なβレセプター遮断作用を有し,単独作用ではpropranololよりも弱く,100μg/kg以上の大量では交感神経興奮様の作用を有するものと考えられる.
  • 岡田 信行, 岡崎 豊, 和田 育夫, 田中 康仁, 福田 保, 川面 博, 辺見 善一
    1975 年 71 巻 2 号 p. 231-252
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    MS-1112の抗炎症作用ならびに糖質ステロイドに関連する薬理学的能動性をdexamethasone(Dexa),betamethasone-17-valerate(Val),hydrocortisone acetate(Hydr)と比較検討した.各薬物の抗炎症作用を全身投与(皮下または腹腔注射)で比較した場合,毛細血管透過性,急性あるいは持続性足浮腫法,granuloma pouch法,cotton pellet法のいずれにおいても抑制効果はDexaが最も強く,次いでMS-1112,Val,Hydrの順であった.また薬物を連続投与した際にみられる全身作用(体重減少,胸腺および副腎重量の低下など)の強さも薬効に比例していた.局所投与による抗炎症作用はcarrageenin足浮腫法ならびにcotton pellet法において極めて微量で効果を発揮し,その抑制効果はMS-1112が最も強くDexaの3~5倍の効力を示した.またその他の薬理作用として,糖質ステロイドの特徴である肝グリコーゲン沈着充進作用,脳下垂体-副腎皮質機能抑制作用,尿量および尿中電解質の増加,glucose負荷時の糖処理機能低下ならびに創傷治癒に対する抑制作用が認められたがいずれもDexaより弱かった.さらに性ホルモンに対して何ら影響を与えず,血中BSP排泄をやや促進する傾向が見られた.以上の成績からMS-1112は全身投与および局所投与において強力な抗炎症作用を有し,特に局所投与にいてその作用が顕著であることからみて,局所での浸透性,貯留性等の点ですぐれた極めて強力な局所性抗炎症ステロイド剤であると思われた.
  • 今泉 義則, 斎藤 直久, 岡田 信行, 辺見 善一
    1975 年 71 巻 2 号 p. 253-261
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    Picryl chlorideで遅延型アレルギー皮膚炎症を惹起させたマウスを使用して,MS-1112の抗炎症作用を皮膚適用(塗布)ならびに全身適用(皮下注射)においてbetamethasone-17-valerate(Val),dexamethasone(Dexa)およびbetalnethasone(Beta)と比較検討した.皮膚適用には同一基剤に被検薬を含有するointment,cream,gel剤を作製し,炎症の予防効果と治療効果を試験した.MS-1112は皮膚適用による予防および治療効果のいずれにおいても最も強い抑制作用を示し,基剤別による効果はointmentが最も強く,次いでcream,ge1の順であった.C-17位の水酸基を疎水性の置換基でエステル化されていないBetaおよびDexaは予防および治療効果のいずれにおいても効力は非常に弱い(Beta)か,あっても効力発現は非常に遅かった(Dexa)。一方,全身投与(皮下注射)における効力はDexaが最も強く,次いでMS-1112およびBetaがほぼ同等の効力を示し,Valが最も弱かった.以上の成績からMS-1112はointment,cream,gelの型で外用した時,Valよりかなり強い抗アレルギー性皮膚炎症作用を示し,その作用発現は比較的短時間に招来され,かつ持続時間も長いことからみて,皮膚病巣部への浸透性および皮膚内での貯留性にすぐれた局所牲抗炎症ステロイド剤であると思われた.
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