日本薬理学雑誌
Online ISSN : 1347-8397
Print ISSN : 0015-5691
ISSN-L : 0015-5691
持続性降圧作用を有するMandelamidineの作用様式の解明(II)Mandelamidineの初期血圧反応の機構
小澤 光弘中 豊
著者情報
ジャーナル フリー

1975 年 71 巻 6 号 p. 559-571

詳細
抄録
dl-Mandelamidine(MA)の初期一過性血圧下降について検討を加えた.1)無麻酔ラット血圧に対して,MA(1~30mg/kg i.v.)を与えても血圧下降はほとんど認められないが,麻酔すると著明にみられた.papaverine(1~10mg/kg i.v.)もMAと同様な結果を示した.2)麻酔ラット血圧に対して,MA(10mg/kg i.v.)を短時間に連続的に投えても血圧下降には影響が認められず,さらにC6(5mg/kg i.v.),propranolol(1mg/kg i.v.),diphenhydramine(10mg/kg i.v.),atropine(2mg/kg i.v.)の前処理によっても抑制されなかった.またE(3μg/kg i.v.)の昇圧反応は,MA前処理後3分以内では抑制されるが,しかし5分以上経過すると逆に増強された.3)イヌ後肢血管潅流実験,椎骨動脈潅流実験において,MA(10μg/kg i.a.~1mg/kg i.a.)は後肢血管,脳血管の一過性拡張作用を示し,後肢血管におけるこの作用はatropine(2mg/kgi.v.),Propranolol(1mg/kg i.v.)により抑制されなかった.またNE(0.2μg/kg i.a.)の後肢血管収縮作用に対しても,MAは顕著な抑制を示さなかった.4)イヌ心肺標本,摘出モルモット心臓において,MAは大動脈圧,心拍数,分時拍出量,心収縮力などの抑制を示した.5)ネコ上頸部交感神経節後線維の電気刺激による瞬膜の収縮に対して,瞬膜側へ動注したMA(1μg/kg i.a.~1mg/kg i.a.)はphentolamine(10μg/kg i.a.)のような顕著な抑制を示さなかった.6)摘出ウサギ下行大動脈において,MA(3×10-6~3×10-4g/ml)によりNEの用量-反応曲線の著明な右方への平行移動はみられず,高用量では非競合的な抑制が認められた.以上の結果からMAの初期一過性血圧下降は,心臓血管系の直接的で非特異的な抑制作用によるものと思われ,MAのadrenergic α-遮断作用は非徴に微弱であることが推測される.MAの心臓におけるcatecholamine遊離作用についても,イヌ心肺標本,モルモット心臓,モルモット右心房活動電位の結果などから,非常に弱いことが確認された.
著者関連情報
© 社団法人 日本薬理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top