日本薬理学雑誌
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ラット摘出直腸におけるK, Acetylcholine, Baの収縮機序,とくにCaとの関連
谷山 紘太郎荒木 宏昌前田 昌良鄭 瑞棠松本 博
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1976 年 72 巻 1-2 号 p. 105-111

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抄録

ラット直腸条片を用い, K, ACh, Baの各収縮機序をCaとの関連において検討した. K, ACh, Baの各収縮は, phasic contraction (PC) とこれに続くtonic contraction (TC) より成る,各収縮に対する代謝阻害 (anoxia, DNP) および栄養液のCa除去の影響から,次の推定を得た. KとAChのPCはCa遊離とpassiveのCa influxによって起り, BaのPCはCa遊離によって起る. KとAChのTCは主にactiveのCa influxによって維持され, BaのTCはCa遊離とactiveのCa influxによって維持される.ただし, Baの収縮機序には,この他に, Ca動員を介しない,筋収縮要素への直接刺激も一部関与する.筋細胞膜のCa storeには, Caが(1)比較的離れやすいstore, (2)次で離れやすいstore, (3)離れにくいstoreの区分があり, Kは(1)から, AChは(1)と(2)から, Baは(1), (2), (3)からそれぞれ,収縮に利用されるCaを遊離させる,濃度作用曲線を用いて,3収縮薬のPCおよびTCに対する外液Ca除去の影響を解析した.この結果から,3収縮薬の収縮機序についての上記の推定が一層支持された.

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