抄録
Tryptophan hydroxylase阻害剤p-CPAおよび5-HTの前駆体L-5HTPのラットの条件回避反応および脳内5-HT含量におよぼす影響を検討し,次の成績を得た. 1) p-CPAの連続投与により,条件回避反応の習得の促進,消去の遅延がみられ,また,体重の増加は低いレベルに抑えられた. 2) 一定の基準に達したラットの条件回避反応はp-CPA負荷ラットの場合, L-5HTP 25, 50mg/kg投与により抑制をうけたが, CMC負荷ラットでは何らの影響も受けなかった. 3) p-CPA 316mg/kg 1回投与により脳内5-HT量は対照値の22%にまで減少したが, L-5HTP投与により5-HT量は急速に回復した.以上のことからL-5HTP投与によるラットの行動変化の発現にはL-5HTP投与前のラット脳内5-HT量の多寡により,差異が存することがわかった.