抄録
本研究はウサギの視床下部電気刺激下の情動行動を恐怖の動機づけとして,古典的条件づけにより, Conflict-induced behaviorの形成を試みた.反応様式の記録,解析は新たに考案した行動記録法を介して行なった.すなわち,行動の記録は頭部,腰部に加速度振動子を固定することにより,約20種類の行動が客観的にとらえられ,再現性が得られた.ウサギの視床下部刺激下の逃走行動は感覚刺激によって条件づけられる.条件反応の形式過程は自律・体性期,連続走行期,非連続走行期の3期に分類できる.内側視床下野あるいは脳弓周囲を無条件刺激とする場合に条件反応は非連続走行が認められるが,外側視床下野の刺激では非連続走行に移行しない.この非連続走行は走行に移行させる力と走行を阻止する力との同時的な対立によるconflict-induced behaviorと考えられ, Lewinの分類による回避-回避葛藤に相当するものと結諭した.