日本薬理学雑誌
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Methyl O-(4-hydroxy-3-methoxycinnamoyl)reserpate〔CD-3400〕の末梢作用について ―特に平滑筋臓器に対する作用―
三宅 雅久長谷川 良夫玉田 輝巳藤本 康夫
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1976 年 72 巻 8 号 p. 991-1000

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抄録
抗高血圧作用を有する新rauwolfia alkaloid誘導体methyl O-(4-hydroxy-3-methoxycinnamoyl)reserpate〔CD-3400〕の末梢作用,特に平滑筋臓器に対する作用を,rescrpineおよびrescinnamineと比較検討した.マウス瞳孔に対して,CD-3400,reserpineおよびrescinnamineの投与により縮瞳作用を示したが,CD-3400の作用は最も弱かった.また,マウス腸管輸送能に対してreserpineは,促進作用を示したが,CD-3400には認められなかった.モルモットおよびラット摘出輸精管平滑筋のnorepinephrine(NE)収縮に対する作用は,CD-3400 10-5Mで非競合的抑制作用を示したが,1mg/kg/day(i.p.)5日間前処置により,NE収縮は増感された.これらの効果は,reserpineおよびrescinnamineのそれらより弱いものであった.また,CD-3400を前処置した標本に対するtyramincの収縮作用は,有意に抑制され,reserpineおよびrcscinnamineとほぼ同程度の効果であった.ラット生体位子宮自動運動に対して,これら3薬物の1および2mg/kg(i.v.)投与では,著明な影響は認められず,さらに,CD-3400 4mg/kg(i.v.)投与でも著しい変化はみられなかった.ラット摘出子宮平滑筋に対するCD-3400の作用は,直接および前処理によってもoxytocin収縮およびisoproterenol弛緩反応に著しい影響を示さなかった.以上のことから,CD-3400の末梢作用は,reserpineと同様にcatecholamine storeを枯渇して交感神経機能を衰退させることにより生じ,この効果は,reserpineやrescinnamineに比して弱いものであることが示唆された.
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