日本薬理学雑誌
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γ-Oryzanolの研究(第2報) ―抗潰瘍作用について―
板谷 公和清永 城右石川 宗義
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1976 年 72 巻 8 号 p. 1001-1011

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抄録

前報にひきつづき,γ-oryzanolの作用機作を解明するため,atropine,propranolol,sulpirideを対照薬として用い,γ-oryzanolの抗ストレス潰瘍作用に日.内変動があるかどうか,他種実験潰瘍モデルに対するγ-oryzanolの効果がどのようであるか,また生体アミン量に影響する薬物を併用した場合に,γ-oryzanolの抗ストレス潰瘍作用がいかに影響されるかなどについて検討を加えた.その結果,ストレス潰瘍の発現は,午前8時には低いが,午後2時に最高となり,午後8時には再び低値を示す日内変動を示した.また,γ-oryzanolは,午前2時,5時,11時および午後2時にそれぞれ6時間のストレス負荷を開始した場合,有意の抗潰瘍作用を発現した.他種潰瘍モデルに対する効果については,γ-oryzanol100mg/kg(S.C.)8日間投与は,絶食潰瘍を有意に抑制したが,幽門結紮,stress-atropine,酢酸潰瘍に対しては,同量5日間投与によって軽度の抑制傾向を示すのみで,reserpineまたはserotonin潰蕩に対しては無効であった.また,上記各種潰瘍時の血清gastrin値をみると,幽門結紮潰瘍では上昇,reserpine潰瘍では減少し,serotonin,酢酸潰瘍では有意に変動しなかった.潰蕩治癒効果と,血清gastrin値の間に一定の関係を認めなかったが,血清gastrin値に対しγ-oryzanolはatropine,propranolol,sulpirideとは異なる影響を示した.他方,γ-oryzanol5日間投与後,ストレス負荷前に,reserpine,α-methyl-p-tyrosine(α-MT),DL-p-chlorophenyl-alanine(PCPA)などを処置すると,γ-oryzanolの抗ストレス潰瘍作用は消失した.Reserpine5mg/kg前投与によるγ-oryzanolの抗ストレス潰瘍作用消失は,5-hydroxy-dl-tryptophan(5-HTP),あるいはL-DOPAの投与により回復傾向を示し,その傾向はL-DOPAの方が大であった.これらの結果から,γ-oryzanolの抗潰瘍作用に,生体アミンとくにcatecholamineおよびserotoninの関与を推察した.

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