日本薬理学雑誌
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Oxatomide(KW-4354)の薬理作用 第4報 ラット腹腔浸出細胞および肺切片からの Histamine遊離におよぼす影響
大森 健守石井 秀衛周藤 勝一中溝 喜博
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1982 年 80 巻 6 号 p. 441-449

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抄録

肥満細胞を含むラッット腹腔浸出細胞(PEC)および摘出肺切片からのアレルギー性の,あるいは非アレルギー性のhistamine遊離におよぼすoxatomideの影響を,disodium romo-glycate(DSCG)のそれと比較検討し,以下の成績を得た.1) phosphatidyl-L-serine(PS)存在下における感作ラットPECからの抗原抗体反応にもとづくhistamine遊離に対し,oxatomideは10-6Mから有意な抑制作用を示し,10-5M以上で抑制作用を発現するDSCGに比べ低濃度から有効であった.2) concanavalin AおよびPS共存下に惹起されるhistamine遊離に対し,oxatomideは10-7M以上の濃度で,DSCGは10-5M以上の濃度で抑制作用を示した.3) compound 48/80 0.5μg/mlによるhistamine遊離に対し,oxatomide 10-8~10-5Mはほとんど影響をおよぼさなかったが,DSCGは10-5M以上の濃度で抑制作用を示した.4) calcium ionophore;A-23187 10-6Mによるhistamine遊離に対し,oxatomideは10-5Mで有意な抑制作用を示したが,DSCG 10-7~10-4Mは影響をおよぼさなかった.5) 感作ラット摘出肺切片からの抗原抗体反応にもとづくhistamine遊離に対し,oxatomideは10-7M以上で,DSCGは10-5M以上の濃度で抑制作用を示した.6) oxatomide 10-8~10-5M,DSCG 10-6~10-4Mの濃度範囲では,薬物それ自体でhistamine遊離を惹起しなかった.

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