日本薬理学雑誌
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Eptazocine(l-1,4-dimethyl-10-hydroxy-2,3,4,5,6,7-hexahydro-1,6-methano-1 H-4-benzazonine)の薬理作用
第4報 Eptazocineの抗侵害作用に対するNaloxoneの拮抗作用について
鍋島 俊隆山田 重行山口 和政松野 聖亀山 勉榊原 曩人松本 昌世
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1983 年 81 巻 5 号 p. 411-420

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抄録
eptazocine(l-1,4-dimethyl-10-hydroxy-2,3,4,5,6,7-hexahydro-1,6-methano-1 H-4-benzazonine)が麻薬性鎮痛薬または麻薬拮抗性鎮痛薬のどちらに属するか,eptazocineの抗侵害作用に対するnaloxoneの拮抗およびmorphineの作用に対するeptazocineの作用を検討した.マウスでの熱板法,および圧刺激法,ラットでのtail-flick法では,eptazocineの抗侵害作用はmorphineのそれと同様にnaloxoneで完全に拮抗された.一方,マウスでの酢酸writhing法においてmorphincのED50値はnaloxone 0.5mg/kg(s.c.)前処置により,有意に上昇したが,eptazocine,pentazocineのそれは,naloxone 1.0mglkg(s.c.)を前処置しても有意な上昇が認められなかった.また,酢酸writhing法におけるnaloxoneのpA2値は,eptazocine<pentazocine<morphineであった.一方,圧刺激法でのmorphineの抗侵害作用は,eptazocineによって用量依存的に拮抗された.さらにまた,morphineの自発運動亢進作用もeptazocineによって拮抗された.以上の結果より,eptazocineはopiateagonistではなくopiateagonist-antagonistに属するものと思われる.
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