抗アレルギー薬oxatomideの種々のchemical mediatorsに対する拮抗作用を検討し,以下の成績を得た.1)摘出モルモット回腸におけるhistamine(Hist)10
-7M,serotonin(5-HT)10
-5M,bradykinin(BK)3×10
-9Mによる収縮反応をoxatomideは10
-8Mから抑制し,それぞれに対する50%抑制濃度(IC50)は1.7×10
-7M,2.3×10
-7Mおよび4.6×10
-7Mであった.acetylcholine(ACh)2×10
-7Mによる収縮反応に対する抑制作用は弱くIC50は7.8×10
-6Mであった.2)Histの累積適用による収縮反応に対して低濃度では競合的な,高濃度では非競合的な拮抗作用を示し,pA
2=8.02±0.26,pD
2'=6.52±0.38であった.AChの累積適用による収縮反応に対しては非競合的拮抗作用のみを示し,pD
2'=6.04±0.52であった.3)感作モルモット肺切片からの遊離SRS-Aの回腸収縮反応を10
-7Mから抑制し,IC50は3.7×10
-7Mであった.比較対照に用いたFPL-55712のIC50は1.2×10
-8Mであった.4)Histによるモルモット摘出心房の陽性変時反応にはoxatomidcは影響をおよぼきなかった.5)Histおよび5-HT投与によるモルモット気道収縮反応をoxatomideは0.1mg/kg(i.v.)から抑制したが,AChおよびarachidonic acid投与による反応には1mg/kgでも影響しなかった.6)Hist,5-HT,BK投与によるラット皮膚血管透過性亢進反応を5mg/kg(p.o.)以上で抑制し,それぞれに対するED50は14.5mg/kg,6.6mg/kgおよび21.2mg/kgであった.7)5-HT投与によるネコ瞬膜収縮反応を0.03mg/kg(i.v.)以上で抑制した.8)摘出モルモット心房標本のCa
2+収縮には10
-5Mで軽度の抑制作用を示すに留まったが,盲腸紐標本においてはCa
2+収縮に競合的に拮抗し,pA
2=6.74±0.5であった.以上の成績から,oxatomideは比較的低濃度で抗Hist,抗5-HT,抗BK,抗SRS-A作用を発現するとともに,その約10倍から非特異的な平滑筋弛緩作用を発現する薬物であることがわかった.
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