抄録
新しい去痰薬BR-222の気道液に対する作用,気道の繊毛運動に対する作用ならびに鎮咳作用についてbromhexineと比較検討し,次の結論を得た.1)ラット,ウサギおよびイヌに,BR-222の5~40mg/kgを経口あるいは十二指腸内に投与した場合,bromhexineとほぼ同程度に気道液量を増加させた.しかし,増加の時問経過はウサギではbromhexineのそれとは趣を異にしていた.さらにイヌの場合,気道液中の糖および蛋白の含量比は両薬物によって影響されなかったが,bromhexineに比べてBR-222の場合は,気道液中の漿液性成分の増加が著明であると推定された.2)イヌの正常気道液の粘度は,BR-222の10および20mg/kgの十二指腸内投与によって用量依存的に低下する傾向がみられ,bromhexineもほぼ同様であった.気管支炎罹患ウサギの疾の粘度も,BR-222の10mg/kgの十二指腸内投与によって同じく低下する傾向がみられた.3)ハト気管粘膜における繊毛運動による異物輸送に対して,BR-222の6mg/kg筋注は輸送を有意に促進させたが,bromhexineの同用量では逆に抑制する傾向がみられた.4)咳漱犬法によると,BR-222の50および10omg/kgの経口投与は明白な鎮咳効果を現わさなかった.bromhexineも同様であった.