日本薬理学雑誌
Online ISSN : 1347-8397
Print ISSN : 0015-5691
ISSN-L : 0015-5691
83 巻, 2 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 赤池 紀扶
    1984 年 83 巻 2 号 p. 93-104
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    Cl- current in GABA-sensitive neurons of the frog dorsal root ganglia was separated from other Na+, Ca2+ and K+ currents using the suction pipette technique which allows internal perfusion and current clamp. Adequacy of the internal perfusion technique was assessed from the reversal potential for GABA-induced Cl- current (EGABA) at various intracellular Cl- concentrations. EGABA was equal to the Cl- equilibrium potential (Ec1) and behaved as a simple Cl- electrode following changes of external and internal Cl- concentrations ([Cl]0 and [Cl]1). EGABA changed by 58 mV for a tenfold change in either [Cl]0 or [Cl]i at constant [Cl]0 or [Cl]1, respectively. GABA-induced Cl- conductance increased dose-dependently. In addition, single Cl- channel current (icl) and conductance (γc1) were estimated from the Cl- current fluctuation by using both power spectrum and amplitude histogram methods, and the theoretical values were compared with those measured directly by a conventional inside-out patch clamp technique.
  • 大西 治夫
    1984 年 83 巻 2 号 p. 105-114
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    抗腎血清を投与されたラットにおいて,尿蛋白,フィブリノーゲン,コレステロールおよび免疫複合体は著明に増加し,血清総蛋白質,イムノグロブリンG(IgG)および補体は著明に減少,糸球体内皮細胞の基底膜よりの剥離,基底膜の肥厚,糸球体足突起の融合および尿細管の硝子円柱の増加が観察された。また,抗腎血清に対するラットIgGの糸球体係蹄壁への沈着が観察された.これらの変化は,いずれもヒトpepsin静注により抑制,または減弱された.その主たる作用機序として,免疫複合体の選択的分解にあることが示唆された.一方抗腎血清を投与されたマウスにおいても,尿蛋白の著明な増加が観察された.この増加も,ヒトおよびマウスpepsin静注により抑制されたが,マウスpepsinの作用は,マウスに対して異種のヒトpepsin静注よりも強いようであった.
  • 甲斐 修一, 河村 寿, 石川 克己, 門田 利人, 河野 茂生, 高橋 紀光
    1984 年 83 巻 2 号 p. 115-122
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    鎮痛薬butorphanol tartrate(BT)をラットの周産期および授乳期に皮下投与すると,新生仔死亡の増加が観察されたため,この原因を明確にする目的で,交差乳母哺育による本実験を行った.BT25mglkg/日を妊娠CRJ : CD(Sprague-Dawley)ラットの周産期に皮下投与して,自然分娩により得た新生仔を対照(生理食塩液投与)母獣あるいはBT処置母獣に哺育させると,生後3日目の生存率が明らかに低下した.この原因として,BT処置母獣のうちには,分娩直後の新生仔について羊膜・胎盤・瞭帯の除去とか仔を集めて哺乳するというような,母獣が本来なすべき産後処理を行わなかったものがあったため,衰弱した新生仔は交差哺育しても死に至ると考えられた.この見解は,BT処置母獣から帝王切開により得た新生仔を,対照母獣あるいは無処置母獣に哺育させると,生存率が有意に上昇したことにより支持された.なお,分娩時の新生仔生存率および体重に及ぼす周産期に投与したBTの影響,あるいは生後3日目以降離乳時までの哺育仔に及ぼす授乳期に投与したBTの影響はほとんど観察されなかった.
  • 大南 宏治, 松岡 栄子, 高橋 因, 奥田 拓道, 清水 大三郎
    1984 年 83 巻 2 号 p. 123-132
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    GTG肥満マウスにmazindolを0.5,2.10mg/kg体重レベルで8遍間にわたり経口投与した.その結果,以下のような成績が得られた.1)8週間投与後の終体重は,mazindol投与量に比例して肥満群に比べ低下した.2)肝臓内のTG,cho,PL,過酸化脂質は肥満群に比べmazindol投与群で有意に低下した.3)血中脂質,インスリン,肝機能障害の指標となるGPTおよびγ-GTP活性は,mazindol投与群で肥満群に比ぺ有意に低下した.4)肥満時に上昇が認められる脂肪組織内TG量,脂肪組織の脂肪分解活性は,mazindol投与群でその上昇が抑えられた.5)小腸絨毛部を走査電子顕微鏡にて観察したところ,肥満時に拡大・肥大した絨毛はmazindol投与群で縮小していた。6)小腸粘膜における消化酵索活性は,肥満群で認められた活性上昇がmazindol投与群で低下することがわかった.
  • 永井 克也, 森 勉, 大倉 実, 辻本 久敏, 中川 八郎
    1984 年 83 巻 2 号 p. 133-145
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    摂食抑制剤として開発されたmazindolの行動に対する薬理作用とその作用機序を調ぺるためmazindolを食餌添加,脳内連続注入および皮下注射の3つの方法で投与し,摂食および飲水行動並びに活動の変化を特にその概日リズムに注目して検討した.mazindolを食餌に添加するとその添加前に比べて摂食挿制以外に一時的な飲水抑制や,Animex活動量並びに輪廻し運動量の増加をもたらすことがわかった.この際これらの行動の概日リズムには大きな変化がなかったが,暗時(消燈時)の行動のたかまりが明時(点燈時)の初期にまで延長して認められる様になった.またmazindolの脳内投与は摂食を抑制するが,特に暗時の摂食を強く抑制して概日リズムを乱すことが判った.この作用は側脳室投与では認められず,視床下部視交叉上核の後方2mmの正中隆起付近に注入した時が最も強く,mazindolの摂食抑制の作用部位がこの付近に存在する可能性を示唆している.mazindolを食餌に添加すると食餌効率が低下することから,mazindolの体重減少効果は摂食抑制以外に代謝変動による可能性を考え,mazindol投与による代謝変動を調べた.その結果mazindolの投与により血中尿素量の増加,アミノ酸分解酵素である肝チロヂントランスアミナーゼ,糖新生系酵素である肝フォスフォエノールピルベートカルボキシキナーゼ,および肝フルクトース1,6-ジフォスファターゼ等の活性増加と解糖系酵素である肝フォスフォフルクトキナーゼ活性の減少が引き起こされることから,mazindolはラットで蛋白,アミノ酸の分解を促進し,分解されて生じたアミノ酸の炭素骨格からの肝でのグルコース形成を促進するという蛋白質の異化作用をもつことが明らかとなった.
  • 栗原 久, 田所 作太郎
    1984 年 83 巻 2 号 p. 147-158
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    抗パーキンソン薬であるamantadineの行動薬理作用を,マウスの自発運動活性,ラットの連続および非連続回避反応,さらにマウスにamantadine水溶液を自発摂取させた際の飲水行動日周リズムを指標として検討した.amantadine10~40mg/kg,i.p.はマウスの自発運動活性を軽度ながら一様に促進した.また10~40mg/kg,i.p.の30分あるいは4時間前の前処置により,apomorphine 0.5mg/kg/s.c.の自発運動活性促進効果は増強され,methamphetamine 2mg/kg,s.c.のそれは逆に軽減された.amantadine水溶液を7または21日間マウスに自発摂取させると,飲水量は0.1mg/ml溶液で数日間,0.4mg/ml溶液では全期間にわたって10~15%減少した.しかし夜行性動物特有の飲水日周リズムには著変が認められなかった.このときのamantadineの摂取量は1日あて15~80mg/kgであった.本自発摂取マウスにおいても,apomorphineに対する感受性の増大,およびmethamphetamineに対する感受性の低下が認められた.amantadine 10~20mg/kg,i.p.ではラットの連続および非連続回避反応に著変はみられなかったが,40mg/kg,i.p.以上では全身症状の悪化とともに回避反応は抑制された.amantadine10~20mg/kg,i.p.の併用投与によって,各種用量のmethamphetamine,atropineおよびscopolamineの回避反応促進効果は著明な影響を受けなかった.しかしchlorpromazine,haloperidol,tetrabenazine,pilocarpineおよびphysostigmineの回避反応抑制効果は軽減された.本実験結果はamantadineがカテコールアミン性神経系に作用するだけでなく,アセチールコリン性神経系にも作用する可能性があり,その作用機序の複雑性を示唆している.
  • 白石 武昌
    1984 年 83 巻 2 号 p. 159-172
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    イヌを用いて,mazindolの唾液分泌に対する作用を検討した.化学刺激と電気刺激による唾液分泌量をmazindol 2mg/kgの静注で減少させ,自発性唾液分泌を抑制した.唾液分泌圧も低下した.唾液分泌速度に対する作用は,mazindol投与群と生食投与の対象群の間に有意な差はなかった.mazindol投与群の唾液中と血清中のNa+,Cr-,K+に対する作用は両者とも大きな差はなかった.これにより,先のmazindolの投与により得られた唾液分泌量と分泌の駆動力(分泌圧)に対する抑制効果は,輸送されるイオン輸送によるものでなく,他の作用機序の介在が示唆された.ラットを用いて,mazindolの末梢性と中枢性の胃酸分泌に対する作用を検討した.末梢性の胃酸分泌では,その酸分泌量,分泌の持続時間ともに影響を与えなかった.2-DGやinsulinによって起こされた中枢性胃酸分泌に対しては,明らかな抑制作用を示した.視床下部外側野内に微量投与した場合にも,2-DGによる分泌を抑制した.mazindolは視床下部に直接作用し,そこが統御する胃酸分泌に対して抑制効果を示したことになる.視床下部外側野内のブドウ糖感受性細胞に対して,mazindolは特異的に抑制作用を示した,一方,視床下部腹内側核内のブドウ糖受容性細胞に対しては明らかな促進作用を示した。以上の成績から,唾液分泌に対する抑制には視床下部の摂食中枢自身に対する作用が示唆され,胃酸分泌に対しても,分泌を直接統御するニューロンに対して作用を及ぼすことが推定され,本剤mazindolの肥満に対する治療効果が期待される.
  • 加瀬 佳年, 日高 寿範, 宮田 健, 高浜 和夫, 岡野 善郎, 久保 信治, 山崎 光雄
    1984 年 83 巻 2 号 p. 173-181
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    新しい去痰薬BR-222の気道液に対する作用,気道の繊毛運動に対する作用ならびに鎮咳作用についてbromhexineと比較検討し,次の結論を得た.1)ラット,ウサギおよびイヌに,BR-222の5~40mg/kgを経口あるいは十二指腸内に投与した場合,bromhexineとほぼ同程度に気道液量を増加させた.しかし,増加の時問経過はウサギではbromhexineのそれとは趣を異にしていた.さらにイヌの場合,気道液中の糖および蛋白の含量比は両薬物によって影響されなかったが,bromhexineに比べてBR-222の場合は,気道液中の漿液性成分の増加が著明であると推定された.2)イヌの正常気道液の粘度は,BR-222の10および20mg/kgの十二指腸内投与によって用量依存的に低下する傾向がみられ,bromhexineもほぼ同様であった.気管支炎罹患ウサギの疾の粘度も,BR-222の10mg/kgの十二指腸内投与によって同じく低下する傾向がみられた.3)ハト気管粘膜における繊毛運動による異物輸送に対して,BR-222の6mg/kg筋注は輸送を有意に促進させたが,bromhexineの同用量では逆に抑制する傾向がみられた.4)咳漱犬法によると,BR-222の50および10omg/kgの経口投与は明白な鎮咳効果を現わさなかった.bromhexineも同様であった.
  • 中村 皖一, 中川 明彦, 田中 実, 増田 裕, 林 康之, 西園 寺克
    1984 年 83 巻 2 号 p. 183-191
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    3位にmethyltetrazolylthiomethyl基を有するセフェム系抗生物質によるジスルフィラム様作用の発現機構を追求するために以下の実験を行った.1)cefetazole(CMZ),cefoperazone(CPZ),latamoxef(LMOX)をヒト,サル,イヌ,ラットに静脈内投与後の原薬物ならびに3位置換基由来のmercaptomethyltetrazole(Me-TZ)の累積尿中排泄率(0~24時間)を求めた.ヒトにおけるMe-TZの尿中排泄率はCPZ(39%)>LMOX(14%)>CMZ(3% of dose)となり,同様の傾向はラット,サルでも見られた.2)ラットにCMZ,CPZ,LMOX,Me-TZを静脈内に単回投与し,一定時間後ethanolを経口負荷したところ,血中アセトアルデヒド値は用量依存的に上昇した.その傾向はMe-TZの尿中排泄率に比例し,CPZ>LMOX>CMZとなった.またサルの2回静脈内投与群においてもCPZ>CMZの傾向が見られた.以上の結果からMe-TZがジスルフィラム様作用の原因物質と推測できたが,本作用発現の強弱に種差,抗生物質問の差異が見られた.それらはこれまでに報告されている各抗生物質の胆汁移行率の大小および組織液中での安定性に起因していると考えられた.
feedback
Top