日本薬理学雑誌
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TraxanoxのBALB/cマウスにおける抗体産生系に対する作用
久留 正生後藤 一洋寺澤 道夫角部 行信安倍 千之塩川 優一
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1984 年 83 巻 6 号 p. 497-505

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抄録
5×108個のヒツジ赤血球(SRBC)で免疫後4日目のBALB/cマウスの脾および胸腺ロゼット形成細胞(RFC)の産生は,traxanox 10~30mg/kgの経口投与で抑制された.本化合物は100mg/kgで19S抗体を減少させ,7S抗体を増加させた.SRBCで免疫後4日目の脾または胸腺RFCを同系マウスに移入すると,マウス脾溶血斑形成細胞(HPFG)の産生は充進した,traxanox(30mg/kg)を投与したマウスの脾または胸腺RFCを移入すると,HPFC産生は亢進せず,抗Lyt 2.2抗体および補体で処理した脾RFCの移入では亢進した.この場合,抗Lvt2.2抗体および補体で処理した脾RFCのviabilityは著明に低下した.traxanox(3~30mg/kg)はconcanavalin A(50μg/マウス)によるHPFC,脾および胸腺RFC産生の抑制を有意に増強した.また,本化合物(3~30mg/kg)は5×108個のSRBCで二次免疫したマウスのHPFC,脾および胸腺RFC産生を抑制した.したがって,traxanoxは抗体産生抑制作用を有し,この作用はLyt2.2 positive cell(サプレッサーT細胞)の誘導を介して発現されるものと推定される.
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