抄録
CM6912および主要代謝物M1,M2の呼吸・循環器,自律神経,平滑筋,その他に対する作用を検討した.1) 呼吸・循環器系に対し,無麻酔ウサギへのCM6912の1 mg/kg静脈内投与では作用がなく,5, 30 mg/kgの経口投与では心拍数は増加したが,呼吸,血圧,心電図には作用は認められなかった.pentobarbital麻酔(以下麻酔)時のウサギでは,CM6912の1, 5 mg/kg静脈内投与で呼吸数の軽度減少のほかは作用がなく,イヌでは5 mg/kgで呼吸数,心拍数は,減少し,血圧,心電図には作用は認められなかった.M1,M2でも作用はCM6912に類似したが,M1は無麻酔ウサギで心拍数を増加させた.2) CM6912の5mg/kgの麻酔イヌへの静脈内投与で,頸動脈洞反射ならびに迷走神経および心臓神経節前,節後神経の刺激効果に影響を与えなかった.3) CM6912および代謝物は,ウサギ摘出心房標本および動脈条片においても作用を示さなかった.4) 摘出筋標本では,CM6912の高濃度でウサギ小腸,モルモット気管筋で軽度の抑制作用が認められたが,ラットの非妊および妊娠子宮,モルモットの輸精管および小腸,ラットの横隔膜神経筋標本では高濃度でも作用は認められなかった.またCM6912および代謝物は,モルモット小腸でのACh,5-HT,histamineおよびBa,輸精管でのadrenaHneの収縮作用に影響を与えなかった.5) ラット生体子宮で,CM6912の2, 10 mg/kg経口投与で作用は認められなかった.6) CM6912および代謝物は静脈内投与で,ウサギ瞳孔径および対光反射に影響を与えなかった.7) CM6912は経口投与で,腎機能,肝機能,溶血性および血液凝固性に影響を与えなかった.8) 局所麻酔および刺激作用もなかった.以上の結果より,CM6912および主要代謝物M1,M2は末梢作用の弱い薬物である.